サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新の無いブログに表示されています。
新しい記事を書くことで広告が消せます。
  

Posted by さがファンブログ事務局 at

2015年09月13日

2015 2ND 第10節 : サガン鳥栖 VS 清水エスパルス

「ホームアンドアウェー方式でアウェー戦を2-2の引き分けに終え、現在アウェーゴールで有利な状態であるので、攻めるに攻められない」

ってな感じの試合でしたね。試合内容はともかくとして、J1残留を争う意味でも非常に重要であった清水との対戦は、スコアレスドローに終わり、なんとか勝ち点1を確保することができました。スタメンやフォーメーションから監督が発しているメッセージは明らかに

「無失点」

だったので最低限の仕事は完遂できました。直接争っている相手に勝ち点3を与えないという方針は良かったと思いますし、実際にディフェンス5枚にして何とか食い止めることは出来ました。
…とはいえ、ホームの試合にしてはやや引きすぎてしまったのではないのかなというジレンマも感じた試合でした。

守備としては、積極的にボールを奪いにいく動きではなく、とにかく中央をケアすることを大事にして、サイドで抜かれても、直接ボールをディフェンスラインに放り込まれても、とにかく中央の3枚で跳ね返すぞという泥臭い形。林の好セーブはもちろん素晴らしかったのですが、いくつかのシーンは好セーブの陰には、中央に3枚のディフェンスをおいていたからこそシュートコースが制限されたり、相手が切り返さなければならなかったりという粘りがあり、5バックの一定の成果はあったように思えます。

ただ、清水のビルドアップの時に、誰が行くのかわからない状態で藤田がもやもやしながら出て行ったというシーンがあったように、相手が入ってきたところに対して構える迎撃姿勢というのは理解できますが、あまりにも待ちかまえすぎると、清水のディフェンスラインがボールを運んで自由にボールを動かされる原因にもなります。特に、後半は、ディフェンスラインから直接ピーターウタカにフィードされる場面も多く、相手のストロングポイントを押さえるための守備とは決して言えない内容でした。

前半にプレッシャーを与えると清水はミスで簡単にボールを失ってそこから鳥栖もチャンスを作っていたので、もう少しファーストディフェンスをどのようにするのかというところの意識が徹底され、積極的に前にでていれば、攻撃につながる高い位置でボールが奪えていたでしょう。ボールを奪う位置が低すぎて攻撃へのシフトができない状態に陥りましたのでそこはかなりの反省材料です。

今回の5バックの中で、清水の4-4-2に合わて吉田とキムミヌが1列前のデュークや白崎についていくと、鳥栖も4-4-2の形のようになります。その時に相手のサイドバックが前に出てきた場合に誰がケアするのかというところを決めておかないと、前半36:44や後半34;23のようなピンチが訪れます。特に前半のピンチは、川崎にやられた形と同じなんですよね。センターバックから中央へのくさびのパスを通してしまったことによって、清水のサイドバックがあがるスペースと時間を作ってしまっていました。

両サイドが1列前に出るとスペースを与えるリスクもあるので、どのタイミングで誰が前に出るかというのは、チームの意識統一が必要です。これからも5バックを続けるのならば、練習や試合の中で徐々に構築していかなければなりませんね。

…ということを言っている時期でもないんですけどね(笑)

守備だけでなく、攻撃も構築必須ですね。選手たちがどうしたいのかまだ模索しているように思えます。攻撃の時には、3-4-3のような形で前に出ていましたが、3トップにしたときの攻撃手法としては、
「WGがサイドに相手ディフェンスをひきつけ、空いた中央のスペースにトップやボランチが入る」
や、
「WGがボールを受けてカットインでシュート、もしくは中央に動いて空いたサイドのスペースにサイドバックやボランチがはいる」
などの、WGを起点とした攻撃の組み立てを行いたいところです。特に、ボランチが入れる形をチームが作り出すことができれば攻撃に厚みができます。無論、WGがドリブル突破で縦に入ることができれば中央の豊田がものすごく生きることになります。

しかしながら、上記のような良いシーンというのはあまり見られずに

・ ディフェンスラインからのボールの出どころが減り、トップの3人にボールが入るまでの過程に苦労していた
・ 豊田の近くで構える選手が少なく、豊田にボールを当てても跳ね返されたときのセカンドボールが拾いづらかった。
・ カウンターの際に全体の動きがかみ合わずに、選手がかぶってしまった

という悪い状態のオンパレードでした。1トップ1シャドウの時と変わらず遠いところから豊田めがけてボールを蹴ってしまうので、セカンドボールもなかなか拾えず、サイドの選手も孤立してしまって、非常に苦しい状態となってしまいました。前に3枚並べたから必ずしも厚みが出るわけではなく、逆サイドのWGの役割を明確に決めておかないと、逆に攻撃に有効な枚数が1枚減ることになります。

とにかく、この試合はシュートチャンスを作る組み立てに乏しく、相手のミス待ちのような形でしたので、鳥栖のゴールが生まれなかったのもやむを得ないですね。まあ、全体を振り返るとよく引き分けたなと思います(笑)

ひとつ、疑問なのは、戦い方として無失点で行こうという意識であり、どうしても攻撃・守備を行う上でWGに運動量を求めなければならない配置であるので、鎌田をスターターで使う必要があったのかなというのはあります。鎌田がサイドに張ってボールを受けて、そこにいったん預けてから展開というのを狙ったようには思えませんでしたし。

鎌田に先日の代表戦の本田のようにボールを集めてサイドの高い位置で起点を作る役割を与えるならばスターターは鎌田でよかったと思います。ただ、相手の裏に抜けるべく鎌田を走らせたり、豊田に長いボールを蹴ってそらしたヘディングを狙うような攻撃であれば、鎌田は死んでしまいます。実際、目立ったシーンはスローインからつないだボールを受けてカットインして左足でシュートを打ったシーンだけでしたし、結局は彼の良さが死んでまま、そのままスタミナ切れで後半交代の憂き目に。

あの形ならば、攻撃寄りの白もしくは守備寄りの早坂でスタートさせるべきですよね。特に、岡田が帰ってきてくれたのでスピード系で使えるカードが増えたので、前半を白でかき回して相手を疲れさせて後半に岡田という手もありますし、攻守に機転の利く早坂をスタートで使って、勝負どころで鎌田をつかうなどの手もあったと思います。白スタメンに不安はありますが、4-4-2のサイドハーフに比べると守備での緻密さがやや低減されるので、白でもそれなりに守れたと思います(笑)

守備の時には5-4-1(もしくは1列前に出て4-5-1)、攻撃の時には3-4-3。今後もこの戦い方で行くのならば、守備はプレスのかけ方、攻撃は豊田とWGの使い方を変えないといけないですね。これまでのように、ロングボールを豊田に当てて…という戦術では苦しいですね。試合の再終盤では、ホームの鳥栖が猛攻をするわけでなく、逆に清水の猛攻にあって、ボールを奪っても藤田がフィードに苦しんで、その結果クリアするよりほかにないという状況でしたし。白も岡田もちゃんと顔をださないといけないですよね。

気になるのは、試合後のインタビューで、森下監督は常にメンタル面しか話しません。相手監督は多少なりともやりたかったこと、やれなかったことを戦術的に話します。無論、マスコミにすべての手の内をさらけ出すことはないのですが、現在の森下監督に指揮権はあるのでしょうか?彼がやれることは、すでに限られた範囲となり、傀儡の王となってしまっている気がしてなりません。やはり、組織というのはリーダーがはっきりと意思を伝え、それを部下が考えてコミュニケーションをとりながらより良い組織を構築することが大事であるので、とにかく、リーダー不在である状態だけは避けてほしいです。

とにもかくにも、無失点で勝ち点1を拾えたことは十分に価値があります。選手たちが自信を取り戻すことが、よい循環を生みますので、次の広島戦もなんとか無失点で耐え抜いてほしいですね。

■鳥栖戦コメント(九州 J-Park)
http://kyushu-j.jp/news/article/748
  

Posted by オオタニ at 21:04Match Impression (2015)