サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

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Posted by さがファンブログ事務局 at

2016年08月30日

2016 2ND 10節:サガン鳥栖 VS アルビレックス新潟

今年のブリヂストンデーは夏休み最後の土曜日に行われました。観客は14千人台とブリヂストンデーにしてはやや寂しい感じも致しましたが、例年のブリヂストンデーにも負けず劣らず、サポーターの皆様の大きな声援でサガン鳥栖を後押しできていたと思います。

サガン鳥栖は、いつものスタメンから早坂を下げてムスを先発に起用します。マッシモさんは、普段のトレーニングの中でムスのコンディションが上がって来ており、チームメイトとも相応のコミュニケーションが取れてきていると判断したのでしょう。

相手ディフェンスラインがボールを持っているときの守備に関しては、早坂の対応の方が数段効果ありますが、前を向いた時のゴールに迫るアイデアと推進力は早坂を遥かに凌ぐものを持っており、得点力に期待したい所です。

新潟は、今シーズン採用している4-1-4-1での立ち上がりでした。レオシルバ、ラファエルシルバのWシルバほどは目立ちませんが、左サイドの指宿、アンカーの小林が攻撃の起点となるところも見逃せません。

鳥栖はここ数年新潟を苦手としておりますが、崩されるパターンとしては、最終ラインが相手のボール保持者に食いついてしまってスペースを作り、そこをレオシルバにうまく狙われているケースが多いです。ということで、試合前のレビューとしてはこんな感じです。



■ 序盤攻勢の鳥栖、中盤攻勢の新潟、終盤攻勢の鳥栖

この試合の鳥栖のボールのつなぎどころとしては、ディフェンスラインと2列目の間でポジショニングをとる小林の脇の部分でした。

4-1-4-1を組んでいる場合は、トップの選手と2列目の選手が前目でプレスにかかったとき、どうしても、最終ラインと2列目の間にギャップを作りやすく、特に、アンカーの脇の部分(サイドバックの前)のスペースを与えてしまいがちです。

序盤は、キムミヌがうまくそのスペースを使っていました。自分が下りてきて組み立てを行うのではなく、相手フォワードと2列目が最終ラインにプレスをかけようとすると、自分自身がサイドバックの前(アンカーの脇のスペース)でフリーとなってボールを受けられる位置にポジショニングし、うまく起点を作ることを狙っていました。

前半、鳥栖が思いのほかボール回しができていたのは、彼のボールの受け方と彼への繋ぎ方が良かったからだと思います。







序盤は、新潟1列目、2列目の勢い余ったプレスと抑え気味の最終ラインという構図によってできたスペースを、キムミヌのポジショニングによって鳥栖が非常によい形でボールをつないでポゼションを取っていました。

ただ、豊田、ムスのシュートなど、鳥栖がチャンスを作るが決められないという状況が続き、新潟も2列目と3列目が連動して全体として後ろで構える状況にシフトしてきます。

鳥栖が押し込んでも、アンカーの小林が最終ラインに入って、5-4-1のような形で迎えるようになると、鳥栖の攻撃も徐々に手詰まりの状況となってきて、互いにボールを中盤で奪い合うような展開になってきました。

この展開にシフトしてから、新潟は、鳥栖の前からのプレスが効く前に、簡単に指宿のサイドにロングボールを合わせてくるようになってきます。

前半は繋ぎに貢献していたキムミヌですが、蹴り合いの状況になってしまうと、指宿とのハイボールの競り合いに対してどうしても分が悪くなり、段々と新潟が鳥栖の右サイドで攻撃の起点を作るようになってきました。

一旦起点を作られてしまうと、アンカーの小林が参加して中盤を5人でボール回しを始める新潟に対して、鎌田の位置取りにも依りますが、ある意味中盤を3.5人で対応する鳥栖という、鳥栖にとってはやや分が悪い状況になってきました。

そして、新潟は攻勢を強め、レオシルバや小林など展開力のある選手によって、逆サイドへの展開を何度も試みていましたが、鳥栖の中盤は過労死してしまうのではないかと心配するくらいのランニングでなんとか対応していました。



試合が後半に入ると、鳥栖は両サイドに大きく展開しながらロングボールを多用して前線に起点を作ることに成功します。

豊田の高さ・強さを生かした上に、新潟の間延びにも相まって、セカンドボールを鳥栖が拾うケースが多く見られました。これにより、前半とはまた異なる形で鳥栖がボールを支配することに成功します。

また、60分頃には野津田に変えて鈴木武蔵が入って2トップになったことも鳥栖としては対処がしやすくなったたかに思えます。

前半は指宿のサイドで起点を作られそこから中盤を支配されていたのですが、後半になると、指宿へのロングボールが入ったとしても、谷口、ミンヒョクのいる中央での対応だったので、比較的対処がしやすい状態でした。

鳥栖が先制点を上げてからは新潟の前の選手がバランスを崩して上がりすぎて中盤を繋げないシーンも見えだし、前半は中盤の人数で不利だった鳥栖が、この時間帯には鳥栖がいつものプレスでボールを奪えるようになってきました。

ムスに変わって富山が入り、新潟の最終ラインへのプレッシャーが強くなったことも、思うような攻撃をさせなかった要因の一つですね。

■ 福田の守備における戦術眼

新潟の攻勢でボールを回される展開の時にあっても、最後のゴールを割らせなかったのは、福田の守備による貢献が大きかったと考えます。この試合でも、福田の光るプレイによって失点を免れたというシーンがいくつもありました。

例えば下の図のようなシーンです。
レオシルバがボールを保持しています。レオシルバがボールを持った時に必ず注意しなくてはいけないのが、最終ラインの裏にスペースを作らない事です。

ところが、図を見ても分かる通り、藤田がラファエルシルバにボールが渡った時に前を向かせたくないので、やや前目にポジションを取っていて、これにより最終ラインである自分の背後にスペースを作っています。

ちなみに、これは藤田だけの問題ではありません。この局面では押されている展開にあり、4-3-1-2で構えている鳥栖は、新潟のボール回しを3人でケアする状態に段々と無理が生じ、藤田が前をケアしなければならない状態になっているのです。

鎌田が下がれば守備は落ちつくのですが、そうするとカウンターの起点まで下がってしまうので、得点を考えると鎌田のポジションを変えるのは難しい選択というところです。



そして、試合中のその時の感想がこちら。


さて、このスペースを見逃さないのが、野津田であり、レオシルバです。野津田がしっかりとそのスペースにランニングし、レオシルバが野津田に配球します。野津田はワンタッチでゴール前に構えている指宿にパスを送ります。

この時点では、鳥栖が新潟にやられる最終ラインのスペースを使われるお決まりの失点パターンです(笑)

しかしながら、今回は違いました。福田のボールの動きを察知する守備感覚とでも言いましょうか。指宿にボールが入って、彼が前を向こうとするモーションを見せた時に猛然とダッシュしてボールにつっかけることに成功しました。彼のこのプレスバックがなければ、新潟がもっと良い形でシュートに結び付けていたかもしれません。





この後、林の素早いスローをきっかけに、福田がドリブル突破して鎌田にパスを送ります。鎌田は豊田へのスルーパスを狙いますが、残念ながらカットされてしまいます。

すると、福田は新潟の選手がボールを納めようとするところに猛然とプレスをかけ、ボールをクリアします。(本来は奪いたかったのでしょうが)

この福田の一連の流れの中でのトランジション時の動きは、非常に見事でした。攻守の切り替えを瞬時にして行い、リスクを最小限に抑えるプレイは、この試合の関家具MVPの名に恥じないものだったと思います。



また、29分のプレイも見事でして、レオシルバの展開から、鳥栖の左サイドに起点を作られて、吉田が対応するために1列前に上がってマークに尽きます。

スペースを狙うのが上手い新潟らしく、ラファエルシルバが吉田の上がった背後のスペースを狙ってランニングを始めますが、スペースをカバーリングするべく福田もそのスペースへのランニングを開始しておりました。

また、福田の動きに伴う守備の連動がありまして、福田がカバーリングに入った動きを見て、鎌田が福田のいたスペースを埋める動きをしていました。

最終的には、小泉が福田の動きを見てラファエルシルバに対するパスを断念してレオシルバに戻し、レオシルバはシュートを放ったのですが、鎌田のプレスが圧力になって、シュートは明後日の方向に飛んでしまいました。

この時、贅沢を言えば、福田、鎌田のスライドによって中央に大きなスペースが空くので、レオシルバがトラップして展開した時に備えてキムミヌもスライドしていたらという感じではあります。



39分には、鎌田の軽いプレイで指宿に交わされた後のケアで福田が素早くコースに入って、シュートを躊躇させることにも成功しましたし、55分には、ムスが奪われたボールに対し、トランジションの場面でまたもや福田がプレスをかけてボールを奪い反すことに成功しています。



この試合は、当然ながら、チーム全体が統一した意識の下で守備組織を構築できたからこその勝利でありますが、その中でも福田の貢献は特に際立っていました。

ファーストステージ終盤から始まり、セカンドステージになっても続いている鳥栖の躍進は紛れもなく福田の台頭にあります。

彼のレスポンスの速さが、時には鳥栖が非常に高い位置から攻撃を始めるきっかけにもなり、時には最終ラインを破られそうなシーンでのカバーリングでチームを救うなど、まさに「ボックストゥボックス」の活躍を見せております。

ちなみに、豊田の決勝点をおぜん立てした福田のパスは、おまけ程度にしか考えていません(笑)
彼の守備の貢献、その地道ながらも決してサボらない動きが、決勝アシストというご褒美に繋がったのでしょう。

最後にチーム全体の課題をあげるとすれば、やはりセットプレイ。6本のコーナーキック+ゴール前のフリーキックのシーンにおいて、もう少し得点のにおいを感じたかったですね。ミヌと義希の2人を配置したコーナーキックは今後も続けるのでしょうか。

<画像引用元:スカパーオンデマンド>
<画像引用元:Football LAB>
  

Posted by オオタニ at 23:41Match Impression (2016)

2016年08月24日

2016 2ND 9節: ジュビロ磐田 VS サガン鳥栖

ファーストステージではホームで敗北を喫してしまった磐田との戦い。
リベンジを目論んだ1戦でしたが、終了間際の失点によって、惜しくも引き分けに終わってしまいました。

相手のミスに乗じて1点取ってからは、磐田に押し込まれている時間が長かったのですが、鎌田の前線からのプレスでパパのパスミスを誘ってからシュートを放った豊田の攻撃(58分頃)や、豊田の大井へのプレスから、高い位置を取っていたパパへの展開を早坂が奪った攻撃(66分頃)など、ここで決めきれれば勝ち点3が奪えたかもしれないという惜しい展開でした。

しかしながら、試合全体を通してみると磐田の攻撃に鳥栖が崩されるシーンも多く目立ち、追加点が奪えなかったことは悔やまれますが、アウェーであるということも考慮すると、引き分けで終えることができてよかったという見方もできます。

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特にセカンドステージに入ってからは、前線と中盤の連動および相手チームを圧倒する運動量で非常に堅固な守備組織を構築していた鳥栖ですが、この磐田戦では、被シュートも多くて危ないシーンも多く目立ちました。

鳥栖の守備は、前線の選手が相手のボールの配球先をコントロールし、配球された先に対して中盤の3人(ないしは4人)がプレッシャーを掛けて高い位置でボールを奪おうとする戦術です。
ところが、磐田戦では前線や中盤がプレッシャーをなかなかはめられず、次から次へと出てくる磐田の選手への対処に苦労していました。

要因として、ひとつは、磐田のボール回しのスピードが速く、サイドチェンジを含めた展開が非常にスピーディであったため、なかなかボールを奪いにいくポイントを絞り込むことができなかったこと、もうひとつは、ジェイ、アダイウトン、太田など選手たちの個人スキルが高く、本来は複数の選手で取り囲んでボールが奪える状況にありながら個人技で打開されてしまったり、ロングボールをキープされたりするので、少しずつ中盤が前に出られない状況となってしまったことが挙げられます。

特に後半の途中からは3-1-4-2と中盤から前線の選手の人数を増やしたため、素早いサイドチェンジ(特に左から右)によって中盤のスライドが追い付かずに、サイドバックと1VS1となってしまうシーンを簡単に作られてしまいました。

ゾーンディフェンスでは仕方のないことなのですが、ボールの位置によっては、相手へのアプローチまでにわずかな間ができる事がありますので、ダイレクトプレイやワンタッチプレイを多用されて素早く展開されると、選手間のスペースが空いてしまい、効率的にプレッシャーをかけられなくなります。

また、同様に、マークについている選手が相手の個人技で交わされてしまうと、相手にそのスペースを利用されるので、後からプレッシャーに入るメンバーは、相手の選択肢が多数ある中で対処しなければならなくなります。

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今回は、前半35分に、磐田の素晴らしい崩しのシーンがあったので、そこをピックアップしてみました。

カミンスキーのキックを宮崎がキープしますが、鎌田の圧力を受けて最終ラインまでボールを戻します。豊田は、ボールが最終ラインまで戻るのを察知して大井にプレッシャーをかけます。豊田のプレッシャーに合わせて、全体がプレスの体制に入ります。

大井は豊田の圧力をサイドに交わしてパパにパスを送ります。ここまでは鳥栖も想定通りだったと思うのですが、福田がパパに対してプレッシャーをかけて川田へのパスを狙って義希も前に来たところ、パパは福田を交わして一気に前線のジェイにパスを送ります。
ここがひとつのポイントでして、パパが福田をはがす動きを見せることによって、鳥栖の中盤のプレッシャーをかいくぐって風穴を開けることができ、前線のジェイにボールを送り込んで起点とすることに成功しました。



ここでも、ジェイが素晴らしいポストプレイを見せるのですが、鳥栖の1列目、2列目が前にプレッシャーをかけた事により、最終ラインとのギャップができるので、ジェイにボールが入っても、中盤の選手が挟み込むことができませんでした。よって、ジェイは谷口からのプレッシャーを背中に受けますが、上手くボールをキープして上がってきた川辺がトップスピードでボールを推進できる素晴らしいパスを送ることが可能となりました。



この一連の素早い展開によって、鳥栖の1列目、2列目のプレスをかいくぐって、最終ラインだけ攻略すればよい状況を作り上げることができました。(しかもその最終ラインには谷口はいません)

そして、川辺は、ドリブルで前進していきながら、今度はキムミンヒョクを誘き出し、ひきつけたところで右サイドの太田に展開します。この段階で、鳥栖のゴール前にはセンターバックが不在の状況ができあがってしまいました。

太田にボールが渡ってからダイレクトでゴール前へクロスをあげられたものの、最終的には、藤田のファインプレイによって失点せずに済みました。ただ、鳥栖の守備としては完全に崩されてしまった磐田の素晴らしい攻撃でした。

私的には、谷口とミンヒョクがプレスに入ってしまっているので、ここはミヌがセンターバックのエリアに戻ってカバーリングするべきだったと考えます。負けている場面でしたら、攻撃に備えるというのも一つの手ですが、勝っている状態でしたし、何よりもセンターバック2人がゴール前に不在というのは、局面的にはかなり「やばい」状態でしたので。







この場面のように、鳥栖のプレッシャーの間を与える暇もないほどに、上下に、左右に素早いボールの展開を見せた磐田に対して、なかなか自分たちの思うような形でボールを奪う事ができなかった鳥栖でしたが、林を中心とした鳥栖の守備陣が、最後のシュート場面で集中した守備を見せていました。
特に、数多くのクロスを浴びていましたが、ポストに助けられたなどの場面はあったものの、磐田の強力な攻撃に対して、流れの中での失点を0に抑えたというのは、今後の自信につながったと思います。

<画像引用元:スカパーオンデマンド>
  

Posted by オオタニ at 14:24Match Impression (2016)

2016年08月18日

アビスパ福岡 VS 鹿島アントラーズ

福岡と鹿島の試合を見ました。
福岡は、残留の為には、たとえ鹿島が相手とはいえ最低でも勝ち点1は欲しい所でしたが、ミスによる失点を重ねてホームでの痛い敗戦となりました。

私は、福岡がしっかりと守備ブロックを形成して守備をベースに戦っているにも関わらず、思いのほか失点が多い要因の一つに「攻撃力不足」があると考えます。

失点が多いのに攻撃力が問題とはこれ如何にという感じですが、昨年はJ2で相手が引いて構えてくるチームが多かったため、ウェリントンにあてるボールを精度よく蹴ることができて彼が適度にボールキープしてくれましたし、そもそもビルドアップの場面でも窮屈になる場面はそう多くありませんでした。

ところが、今年は、相手のプレスが強いことも相まって最終ラインやボランチがビルドアップで思うようにボールをさばくことができず、怪我や守備戦術の影響でウェリントンが試合に出場していないケースも多くて前線で思うようにボールキープすることができず、大宮戦、柏戦など、ビルドアップの途中でミスが発生して失点するというケースや、開幕の鳥栖戦のようにラストパスの精度を欠いて、一気にカウンターから失点するというようなケースが見られます。

前節の鹿島戦の失点も、ビルドアップの途中でボールを奪われたことが失点につながりましたが、ブロックをしっかり形成しているときよりも、むしろ不用意にボールを奪われるなどの攻撃面でうまくいっていないことが、失点の多さに繋がっているのではないかと感じ、攻撃力の不足が失点の原因と考えたわけです。

では、先制の失点シーンをピックアップしてみます。
図は、福岡がボールキープして、ビルドアップをしながら、城後にくさびを入れるシーンです。
城後にボールが入ると同時に、鹿島の選手がプレスにかかり、(坂田へのパスコースに審判がはいってしまうという不運もありましたが)富安へのリターンが合わずにボールロストしてしまいます。



そして、ボールロストした直後に、鹿島がダイレクトで金崎にボールを入れますが、ここがターニングポイントでありまして、金崎にボールが入った後の福岡の選手の動きは、それぞれがそれぞれの思惑で動いていたように見えました。



金崎に一番近い位置にいたのはキムヒョヌンでしたが、「ブロックを構える」という意識が強かったのか、彼は自分の持場である最終ラインに戻るべく、リトリートを始めてしまいました。彼にとっては、まずは自分の守備位置に戻るのが先決だったのかもしれません。

ボールロストした直後の冨安は、金崎に対して強く当たるわけではなく、金崎を後ろから見ながら、比較的ゆっくりとリトリートしておりました。あの位置から激しく当たると、イエローカードをもらう可能性が高いですし、最終ラインに人数がいたので安心していたのかもしれません。

三門は、どちらかというとラインを維持しておきたかった模様で、少しずつ下がりながら停滞していた感じでした。赤崎が裏に走り抜けるのは無視して、裏に走りたければ勝手に走ってもらえれば、パスが出てもオフサイドが取れるという意識があったのではないかと思われます。

濱田は、赤崎が裏のスペースに向かって走りこむのを察知し、赤崎を離すまいとマークしながらついていったのですが、残念ながらスピードの違いで振り切られてしましました。

實藤は、ビルドアップの際に、かなり高い位置にポジションをとっていたので、当然ながら最終ラインに戻ることはできませんでした。

その結果、福岡守備陣の方が人数は多かったのですが、誰も金崎に対するプレッシャーをかけることができず、フリーでドリブルしながらスペースを見つけ、赤崎へピンポイントのパスを送りゴールを決められてしまいました。

ビルドアップでのボールロスト直後は、切り替えてのファーストディフェンスが非常に重要なのですが、全体の意思(やらなければならないこと)が統一されておらず、あっという間に失点してしまった感じです。



福岡で監督をしていた松田さんが、ゾーン守備でのキーワードとして
「ボール周辺の雲行き」
という言葉を使っていました。
「ボール周辺の状況がどうなっているのか、ボールホルダーは次にどんなプレーをしようとしているのか、また、どんなプレーが可能なのか」
という事を表すキーワードです。

福岡の選手が「ボール周辺の雲行き」として、ボールを保持してラストパスを狙っている金崎をフリーにしてはいけないという事を察知できていなかったのは致命的でした。
数多くいた福岡の選手のうち、誰か一人でも金崎にプレッシャーをかけることができれば、あの鮮やかなスルーパスを防げたのではないかと思います。

ボールも味方も常に動いているので、局面、局面での判断は非常に難しいのですが、ビルドアップミスから一気に先制点を喫してしまうのは、チーム状況から考えても、非常に痛い失点でした。

<画像引用元:スカパーオンデマンド>



  

Posted by オオタニ at 19:04Match Impression (2016)

2016年08月15日

2016 2ND 8節 サガン鳥栖 VS 川崎フロンターレ

福岡ソフトバンクホークスとのコラボ企画により、ほぼすべての席のチケットが完売するという集客ができたサガン鳥栖は、16試合連続無敗中でセカンドステージ制覇へ強い意気込みを見せている川崎フロンターレとの対戦でした。

サガン鳥栖の歴史の中で、これまではあまり得意ではない大観衆の中での試合でしたが、この試合では観客の歓声が選手の一歩を後押しするのに多大な効果を発揮し、サガン鳥栖の選手たちは最後まで運動量が衰えることなく走りきることができました。

自分たちのやりたい事、やらなければならない事をしっかりとやり通し、そしてそれが強豪から勝利を奪うという結果に繋がったことは、これからセカンドステージを戦う上で非常に選手たちの自信になったと思います。

■ 相手陣内での攻撃的なプレッシング

サガン鳥栖の今回の勝因は、攻撃的なプレッシングが試合を通じて機能した事です。そして、前半から高い位置でボールを奪ってからのショートカウンターを何度となく繰り出せたのは、川崎が攻撃に対する意識を削り、守備へと意識を向かせるには十分すぎるほどの効果がありました。

川崎のビルドアップは、21番が下がってセンターバックの2人と並んで3人でパス交換しながら、中央へのくさびを狙う形でした。もちろん、中央には中村憲がいるわけでして、前線に大久保、小林というストライカーを有する川崎にとっては、中村憲が中央で前を向けるパスを受けることは、得点に直結する可能性が大きく高まります。

そこで、サガン鳥栖が選んだ選択は、中央へのパスを徹底的に狙う事でした。川崎は、サイドバックを両側に張り出しますが、ボールキープで経由すること、そして相手の中盤を引き寄せることが主な役割であり、サイドから縦にえぐろうという攻撃は自分たちの攻撃ではありません。鳥栖の選手は、サイドの選手たちに引っ張られることなく、川崎の中央の選手の前にでてパスコース限定するという道を選びました。



19分のシーンは、この試合の鳥栖の狙いが現れていて、川崎の両サイドバックへとボールを追い込んで横に展開させるよりは、縦に入るパスに備えて4人の中盤が中央で構えることを選択しており、豊田・早坂がプレスをかけてコースを限定することによって、21番が出した縦へのパスを分断することに成功しました。



■ 度重なるサイドバックの裏を突いたカウンター

もうひとつ、鳥栖が川崎の攻撃に対する威力を低下させたのは、前半開始直後からの度重なるサイドバックの裏を突いたカウンター攻撃でした。川崎はビルドアップから攻撃をしかけるに当たり、サイドバックが高い位置を保って人数をかけて仕掛けてきますので、鳥栖としては高い位置でボールを奪った瞬間にその裏を突くことによって簡単にゴール前までボールを運ぶことができました。(無論、キムミヌのスピードがなせた業であります。)

中継では鳥栖の左サイド(川崎の右サイド)の攻防に着目していたようですが、鳥栖の右サイド(川崎の左サイド)をついたカウンターも立て続けに浴びせることができています。







ビルドアップでは最終ラインに入っていた21番が、守勢に回るとセンターバックの前でボール保持者へのアクションを行う事によって、サイドのスペースを埋めることに苦労しており、こうなってくると、川崎としてもほっておくこともできず、時間が経つにつれ、両サイドバックの位置取りを調整する事になります。
鳥栖の前半のカウンター攻撃は得点には至りませんでしたが、川崎に自分たちのスペースを狙われることのケア(つまり守備への意識)を考えさせただけでも、攻撃の威力をそぎ落とすには十分効果がありました。

川崎は、怪我人の発生+リオデジャネイロオリンピックによる大島、原川の招集で主力を欠く状態ということもあり、大久保や小林に対してボールが入る以前のところで攻撃が寸断されてしまって、シュートを打つことすらままならない状態でした。

後半に入ると、ビルドアップに苦労しているからか、中村憲が低い位置でボールを受けるようになり、これによって、ボールを保持できる時間帯も増えて鳥栖のプレスからのショートカウンターを受けることは少なくなりましたが、その分、中村憲と大久保、小林との距離が出来たことによって、鳥栖としては致命的なパスを受ける可能性も減りました。

結果的に、鳥栖は、後半開始直後のキムミヌのゴールだけでしたが、得点のチャンスとしては鳥栖の方が川崎よりも数多く作っており、川崎の攻撃をうまく分断することにも成功して、試合全体を通して優位に立つことができました。

この暑い夏場を最後まで走りきった鳥栖の選手たち(特に中盤の4人)の体力には驚かされます。しかしながら、怪我や疲労というのはつきものなので、ベンチにいる選手たちもモチベーションを下げずに頑張ってほしいです。
また、贅沢な指摘ですが、チャンスがゴールに結びついて2点差、3点差とすることによって、主力選手と交代させることも可能になります。
セカンドステージの好調を維持するためにも、怪我なく、チーム全体で暑い夏を乗り切って欲しいです。

<画像引用元:スカパーオンデマンド>
  

Posted by オオタニ at 19:20Match Impression (2016)