2017年09月28日
2017 第27節 : 浦和レッズ VS サガン鳥栖
マッシモ監督の就任が決定した当初、私が勝手に思い描いたのは、サガン鳥栖の伝統とも言うべきしっかり引いた形で守った上で、機を見て攻撃に転じるサッカーで、そしてその攻撃の主たるメソッドとしては、前線の高さを生かしたロングボールによる前進と、献身的な動き(豊富な運動量・ハードワーク)によるセカンドボールの奪取、サイドの選手のスピードを生かしたカウンター攻撃でした。イタリア出身の監督という先入観もあり、また、鳥栖の選手層を考えるとそのようなメソッドを具現化してくれるにふさわしい監督だと解釈していました。
ところが、ふたを開けてみると、新生サガン鳥栖が目指したサッカーは、攻撃ではボールを保持してショートパスを繋ぎながら、しっかりとしたビルドアップで相手の隙ができるのを狙うポゼション重視のサッカーであり、屈強なフォワードの高さ(ロングボール)に頼った偏重的なサッカーからの脱却を図る意図が見え、守備では前線からの連動性を重視して積極的に前からボールを奪いにいく、自分たちが主導権を握りながら試合を進めていこうとするアクションサッカーでした。
思い描いていたサッカーと異なることによって不安が募り、しかもなかなか結果に結びつかない状態で降格の心配をしなければならないような状態にも陥りましたが、昨年度の後半くらいから少しずつそのスタイルが浸透し、更に今年度はそのスタイルを実現してくれる力を持った選手たちが入団したり、既存の選手たちが大きく成長してくれたことによって、確実にスタイルチェンジを果たすことができました。現在も、結果としては順位が大きく跳ね上がっているわけではないですが、昨年度のようにスタイルそのものを否定するような意見はほとんど出なくなったように思えます。
そういう1年半を過ごしながら、今節の浦和戦を迎えるわけなのですが、ようやくなのか、ここにきてなのか、試合前に想像していた戦い方とは異なるメソッドでマッシモは挑んできました。相手ボールになっても必要以上に深追いせず、自陣でブロックを組んでスペースを可能な限り埋めた上で、そして必ず人も捕まえる動き。主体的にボールを奪いに行く形ではないのですが、相手にボールを保持されながらも可能な限り自由を制限し、そして最後の所では防ぎきるという戦術を実行し、マッシモ監督就任直後に思い描いていたサッカーが、今まさにここにきて実行されたわけなのです。
1年半の戦いの結果、チーム全体に守りに対する考え方のベースが出来上がっているからこそ成しえた戦術であるというのは前提として、攻撃面に関しては、イバルボの前線のボールキープによってこの戦術が機能したことは言うまでもありませんし、小野や原川と言ったパスセンスに優れた選手たちが長短のパスを使い分けることも、田川のようなスピードとパワーで相手ディフェンスの裏を執拗に狙う事も少ない人数で手早く攻めるためには必要な要素です。
特に、この試合の攻撃で一番良かったのは、イバルボが前線でキープして、義希がトップスピードで飛び出し、イバルボの丁寧なパスによって義希がダイレクトでシュートを放ったシーンです。しっかりとした守備でボールを奪い、そして少ない人数で瞬時にゴール前に迫ってシュートを放つというこの試合での狙いにぴったりと合致した完璧な攻撃でした。小野のシュートや原川のシュートがポストに当たるようなチャンスもありましたが、私はこの義希のショートこそこの試合で実現したかった攻撃の成就であると思いますし、それだけに、一番決めてほしかったシュートでした。ホント、このシーンは、イタリア代表かと思ってしまって、ついついツイートしてしまいました(笑)今節、(相手のミスはあったものの)見事なカウンター攻撃で2点を奪ったところは、今回の戦術による戦いとしては最大の成果でした。


守備に関しては、この試合でのコンセプトとしては、「誰が」「誰に対して」「どの位置で」マーキングするかというところの意識共有を行うこと。特にサイドでは極力フリーとなる浦和の選手を作らないというところでした。よって、セットアップのフォーメーションとしては、前半を「4-5-1」、後半を「5-4-1」としておきながらも、浦和の選手たちの攻撃に対する人数のかけ方や選手の配置に応じた柔軟な対応を行っており、ベースが4バックであっても相手の選手の位置によってはディフェンスラインに5人~6人並んでいましたし、後半のようにベースが5バックであっても、浦和の選手が引いて受けようとすると中盤にでも付いていって結果的に4バックに見えるようなシーンもありました。
この試合で特によかったのは、サイドの関係であり、サイドバック(小林、三丸)インサイドハーフ(福田、原川)、サイドハーフ(田川、小野)がそれぞれスペースと人のケアを補完し合う動きをしっかりと見せてくれたことです。浦和が駒井、高木を高い位置に置き、時折サイドバック(後半はストッパー)も攻撃に参画させていたので、彼らの動きにどう合わせるかというところの対処は神経を使ったでしょうが、彼らが引いたり絞ったりする動きに合わせたマーキング、マーキングで動いたスペースをカバーする動き、そこに入ってくる浦和の選手たちをケアする動き、どの動きも高い連動性を見せており、非常に守備意識が高く対応できていました。



中央の人数のかけ方も整備された動きであり、浦和が中央でボールを持っている時にはイバルボも含めた形で絞り込みを行い、なるべく縦に入れられないようにスペースを絞っていました。サイドバックが中央に絞り込んだ時には、福田、小野がアウトサイドでは下がるように指示されていた模様です。当然、その時のマークの付き方に応じて原川と田川もアウトサイドのケアを行っていました。

センターサークル付近でのボール保持者に対しては、センターバックに対してはイバルボ、ボランチに対しては義希、サイドではその時についている人間と言う形で棲み分けができており、浦和がゾーン2まで入り込んだ時には、イバルボまで下がって必要以上に前から奪いに行かないというルールの下ではっきりしている守備でしたので、誰かが前に行ったおかげでスペースを生んでしまうという、鳥栖の失点パターンのような綻びは生みませんでした。
それでも2失点してしまったのですが、1失点目は完全にトランジションの隙を突かれた形で、鳥栖の選手が上がっている状態でショートカウンターを受け、結果ペナルティエリア深くまで入り込まれたことによってコーナーキックを与えてしまったことが失点に繋がりました。
2失点目はこれまでの守備のルールから行くとサイドでのフリーの選手は作らないことになっていたのですが、選手交代によってそのルールを少し外してボールサイドに人数を寄せすぎてしまった所を突かれました。当然、1失点目にしても、2失点目にしても、クロスを跳ね返すことができれば良かったのですが、プレッシャーのない場面でのキックなので、良いボールが入ってきてしまいますね。

この1試合だけで、戦術方針の変更かというとそれは早計であり、戦術の幅が広がったという解釈の方が適切なのでしょう。当然、対戦相手(相手との力関係)や起用する選手によっても戦い方は変わりますので、もしかしたら次の鹿島戦では、これまでの戦い方に戻るかもしれません。
先制点を上げてから非常に良い形で試合を進めていただけに、是非とも無失点と勝ち点3を得たかった試合ですが、ひとまずこの試合は、サガン鳥栖の新たな可能性を見ることができたということを喜びたいと思います。
<画像引用元:DAZN>
ところが、ふたを開けてみると、新生サガン鳥栖が目指したサッカーは、攻撃ではボールを保持してショートパスを繋ぎながら、しっかりとしたビルドアップで相手の隙ができるのを狙うポゼション重視のサッカーであり、屈強なフォワードの高さ(ロングボール)に頼った偏重的なサッカーからの脱却を図る意図が見え、守備では前線からの連動性を重視して積極的に前からボールを奪いにいく、自分たちが主導権を握りながら試合を進めていこうとするアクションサッカーでした。
思い描いていたサッカーと異なることによって不安が募り、しかもなかなか結果に結びつかない状態で降格の心配をしなければならないような状態にも陥りましたが、昨年度の後半くらいから少しずつそのスタイルが浸透し、更に今年度はそのスタイルを実現してくれる力を持った選手たちが入団したり、既存の選手たちが大きく成長してくれたことによって、確実にスタイルチェンジを果たすことができました。現在も、結果としては順位が大きく跳ね上がっているわけではないですが、昨年度のようにスタイルそのものを否定するような意見はほとんど出なくなったように思えます。
そういう1年半を過ごしながら、今節の浦和戦を迎えるわけなのですが、ようやくなのか、ここにきてなのか、試合前に想像していた戦い方とは異なるメソッドでマッシモは挑んできました。相手ボールになっても必要以上に深追いせず、自陣でブロックを組んでスペースを可能な限り埋めた上で、そして必ず人も捕まえる動き。主体的にボールを奪いに行く形ではないのですが、相手にボールを保持されながらも可能な限り自由を制限し、そして最後の所では防ぎきるという戦術を実行し、マッシモ監督就任直後に思い描いていたサッカーが、今まさにここにきて実行されたわけなのです。
1年半の戦いの結果、チーム全体に守りに対する考え方のベースが出来上がっているからこそ成しえた戦術であるというのは前提として、攻撃面に関しては、イバルボの前線のボールキープによってこの戦術が機能したことは言うまでもありませんし、小野や原川と言ったパスセンスに優れた選手たちが長短のパスを使い分けることも、田川のようなスピードとパワーで相手ディフェンスの裏を執拗に狙う事も少ない人数で手早く攻めるためには必要な要素です。
特に、この試合の攻撃で一番良かったのは、イバルボが前線でキープして、義希がトップスピードで飛び出し、イバルボの丁寧なパスによって義希がダイレクトでシュートを放ったシーンです。しっかりとした守備でボールを奪い、そして少ない人数で瞬時にゴール前に迫ってシュートを放つというこの試合での狙いにぴったりと合致した完璧な攻撃でした。小野のシュートや原川のシュートがポストに当たるようなチャンスもありましたが、私はこの義希のショートこそこの試合で実現したかった攻撃の成就であると思いますし、それだけに、一番決めてほしかったシュートでした。ホント、このシーンは、イタリア代表かと思ってしまって、ついついツイートしてしまいました(笑)今節、(相手のミスはあったものの)見事なカウンター攻撃で2点を奪ったところは、今回の戦術による戦いとしては最大の成果でした。


守備に関しては、この試合でのコンセプトとしては、「誰が」「誰に対して」「どの位置で」マーキングするかというところの意識共有を行うこと。特にサイドでは極力フリーとなる浦和の選手を作らないというところでした。よって、セットアップのフォーメーションとしては、前半を「4-5-1」、後半を「5-4-1」としておきながらも、浦和の選手たちの攻撃に対する人数のかけ方や選手の配置に応じた柔軟な対応を行っており、ベースが4バックであっても相手の選手の位置によってはディフェンスラインに5人~6人並んでいましたし、後半のようにベースが5バックであっても、浦和の選手が引いて受けようとすると中盤にでも付いていって結果的に4バックに見えるようなシーンもありました。
この試合で特によかったのは、サイドの関係であり、サイドバック(小林、三丸)インサイドハーフ(福田、原川)、サイドハーフ(田川、小野)がそれぞれスペースと人のケアを補完し合う動きをしっかりと見せてくれたことです。浦和が駒井、高木を高い位置に置き、時折サイドバック(後半はストッパー)も攻撃に参画させていたので、彼らの動きにどう合わせるかというところの対処は神経を使ったでしょうが、彼らが引いたり絞ったりする動きに合わせたマーキング、マーキングで動いたスペースをカバーする動き、そこに入ってくる浦和の選手たちをケアする動き、どの動きも高い連動性を見せており、非常に守備意識が高く対応できていました。



中央の人数のかけ方も整備された動きであり、浦和が中央でボールを持っている時にはイバルボも含めた形で絞り込みを行い、なるべく縦に入れられないようにスペースを絞っていました。サイドバックが中央に絞り込んだ時には、福田、小野がアウトサイドでは下がるように指示されていた模様です。当然、その時のマークの付き方に応じて原川と田川もアウトサイドのケアを行っていました。

センターサークル付近でのボール保持者に対しては、センターバックに対してはイバルボ、ボランチに対しては義希、サイドではその時についている人間と言う形で棲み分けができており、浦和がゾーン2まで入り込んだ時には、イバルボまで下がって必要以上に前から奪いに行かないというルールの下ではっきりしている守備でしたので、誰かが前に行ったおかげでスペースを生んでしまうという、鳥栖の失点パターンのような綻びは生みませんでした。
それでも2失点してしまったのですが、1失点目は完全にトランジションの隙を突かれた形で、鳥栖の選手が上がっている状態でショートカウンターを受け、結果ペナルティエリア深くまで入り込まれたことによってコーナーキックを与えてしまったことが失点に繋がりました。
2失点目はこれまでの守備のルールから行くとサイドでのフリーの選手は作らないことになっていたのですが、選手交代によってそのルールを少し外してボールサイドに人数を寄せすぎてしまった所を突かれました。当然、1失点目にしても、2失点目にしても、クロスを跳ね返すことができれば良かったのですが、プレッシャーのない場面でのキックなので、良いボールが入ってきてしまいますね。

この1試合だけで、戦術方針の変更かというとそれは早計であり、戦術の幅が広がったという解釈の方が適切なのでしょう。当然、対戦相手(相手との力関係)や起用する選手によっても戦い方は変わりますので、もしかしたら次の鹿島戦では、これまでの戦い方に戻るかもしれません。
先制点を上げてから非常に良い形で試合を進めていただけに、是非とも無失点と勝ち点3を得たかった試合ですが、ひとまずこの試合は、サガン鳥栖の新たな可能性を見ることができたということを喜びたいと思います。
<画像引用元:DAZN>
Posted by オオタニ at
19:57
│Match Impression (2017)
2017年09月22日
サガン鳥栖のクロスからの失点への対策
クロスへの対処としては、クロスを上げる人間に対峙してそこからラインを整えてポジショニングを取るというのがひとつのセオリーになっています。私が少年サッカーをしていたころから、そう教わってきました(笑)
ところが、最近の守備事情としては、クロスに対するポジショニングも様々な考え方がある模様です。こちらは、ナポリのクロスに対するポジショニングとのことで、Twitter上であがっている画像を利用させて頂きました。当然、サイドバックはボールホルダーに対して対峙するのですが、ニアサイドにいるセンターバックは、やや後方に構えてニアサイドをケアする形、ファーサイドにいるセンターバックはやや前方に構えてマイナスのクロスをケアする形、大外にいるサイドバックは、クロスを上げる選手の平行にポジションを取っています。

これにより、横から見るとちょうど菱形のように見えるのですが、キーパーとディフェンスラインの間もカバーできますし、マイナスのクロスもカバーすることができます。これらを踏まえて、サガン鳥栖の守備陣がこのようなポジショニングを取った場合にどうなるかというのを想定して今シーズンの失点を振り返り、この菱形ポジションであれば防げたであろうというものをピックアップしました。



クロスに対して菱形ポジションを取ると、特に鳥栖がやられているディフェンスとキーパーの間のスペースを利用されるのは防ぐことができますね。ただし、このポジションを取った時には、ニアサイドにいる選手がいるばかりにオフサイドが取れないというリスクも抱えますし、菱形のちょうど中央のスペースを使われるというリスクがあります。
一番大事なのは、クロスを上げる選手と対峙している選手がクロスを上げさせない(もしくはクロスの場所を制限する)事が大事で、そして何よりも、そのチームの規律に応じたポジションをしっかりと取る事ですよね。いくらポジショニングをルール化しても、ポジションの乱れが発生するとスペースを生みますからね。
…とはいうものの、正直な所、このニアサイドをケアするというやり方をサガン鳥栖が採用した時に、クロスに対する失点がどのように変化するか、かなり興味があります(笑)
<引用させて頂いたツイート>
<画像引用元:DAZN>
ところが、最近の守備事情としては、クロスに対するポジショニングも様々な考え方がある模様です。こちらは、ナポリのクロスに対するポジショニングとのことで、Twitter上であがっている画像を利用させて頂きました。当然、サイドバックはボールホルダーに対して対峙するのですが、ニアサイドにいるセンターバックは、やや後方に構えてニアサイドをケアする形、ファーサイドにいるセンターバックはやや前方に構えてマイナスのクロスをケアする形、大外にいるサイドバックは、クロスを上げる選手の平行にポジションを取っています。

これにより、横から見るとちょうど菱形のように見えるのですが、キーパーとディフェンスラインの間もカバーできますし、マイナスのクロスもカバーすることができます。これらを踏まえて、サガン鳥栖の守備陣がこのようなポジショニングを取った場合にどうなるかというのを想定して今シーズンの失点を振り返り、この菱形ポジションであれば防げたであろうというものをピックアップしました。



クロスに対して菱形ポジションを取ると、特に鳥栖がやられているディフェンスとキーパーの間のスペースを利用されるのは防ぐことができますね。ただし、このポジションを取った時には、ニアサイドにいる選手がいるばかりにオフサイドが取れないというリスクも抱えますし、菱形のちょうど中央のスペースを使われるというリスクがあります。
一番大事なのは、クロスを上げる選手と対峙している選手がクロスを上げさせない(もしくはクロスの場所を制限する)事が大事で、そして何よりも、そのチームの規律に応じたポジションをしっかりと取る事ですよね。いくらポジショニングをルール化しても、ポジションの乱れが発生するとスペースを生みますからね。
…とはいうものの、正直な所、このニアサイドをケアするというやり方をサガン鳥栖が採用した時に、クロスに対する失点がどのように変化するか、かなり興味があります(笑)
<引用させて頂いたツイート>
ナポリのマイナスクロス対応。SBがホルダーへ、右CBがニアを遮断。で、左CBのクリバリがキリケシュより高い位置、左SBが絞り込んで◇を作る。ケースバイケースではあるけれど、散々マイナスでやられてる5バックのホッフェンはこれやろう。 pic.twitter.com/ftVXydX8lu
— とんとん (@sabaku1132) 2017年9月18日
<画像引用元:DAZN>
Posted by オオタニ at
19:12
│SAgAN Diary
2017年09月18日
2017 第26節 : サガン鳥栖 VS ヴァンフォーレ甲府
今季初の連敗から立て直すべくホームで甲府を迎えたサガン鳥栖。台風が接近している事もあり、やや観客が少ない中での試合となりましたが、出足の鈍かった観客数とは裏腹に熱い戦いとなり、残留に向けて必死に戦う甲府の守備を最後の最後でこじ開けて、今シーズンのリーグ戦で初めての逆転勝利を掴むことができました。
試合はサガン鳥栖のカウンターに対する対応のミスによって早い時間帯に甲府が先制することになり、図らずもお互いの戦いに対する姿勢が明確になりました。
甲府は5-3-2で最終ラインを固めながら基本的には自陣でブロックを構え、ボールを奪うとすぐに鳥栖の裏を狙う早い攻撃を仕掛ける戦術。ドゥドゥ、リンス、田中のスピードには鳥栖のディフェンス陣も苦労しており、チャンスと見るや一気呵成に出てくる甲府の攻撃陣は迫力がありました。一人少ない状況でもフォワード2人で崩し切る攻撃は非常に怖く、シュートがバーに当たるシーンや赤星のファインセーブによって防いだシュートなどもあり、鳥栖サポが冷や汗をかくようなシュートシーンを多く作っていました。
一方、鳥栖は、ブロックを構える甲府に対してじっくりとボールを回しながら綻びがおきるエリアを我慢強く探る展開となり、仙台戦に比べるとマッシモさんは攻撃に対する構築を行ってきたようでして、ある程度再現性のある攻撃を続けることができていました。時折、低い位置からのロングボールを豊田に当ててという攻撃も見せましたが、競り勝つ豊田に対するフォローも少なく、ロングボールは大きな成果を生み出すことはありませんでした。
今回は、鳥栖の攻撃戦術を振り返ります。
まずは前半ですが、左サイドは原川が引いた形でビルドアップに入り吉田を前方に押し出す形を作り、サイドでの数的優位を作った上で、吉田に突破させようとする流れが見えました。(前半20分頃以降はずっとこの形でした。)左サイドは小椋が原川の動きを制しており、原川がボールを持ってから運ぶスペースがなかったため、無理せずにボールキープを務めることになりました。左サイドをこじ開けるキーポイントとしては、あとひとり誰が絡むかというところですが、義希はアンカーの位置からの飛び出しは自重しており、河野は右サイドにも中央にも左サイドにも顔を出す頑張りで縦横無尽にランニングしてボールの引出を狙っていましたが、左サイドのメンバーにとっては縦に入れたいときに河野がいないという状況に陥ってしまい、なかなかいい形で崩すことができませんでした。
右サイドでの狙いとしては、福田をサイドに張らせて相手のウイングバックを引き出し、そのスペースをフォワードが狙うという形でした。前半は、右サイドでこの形を作る事はある程度成功していて、左サイドでキープしてから右サイドに展開しそこから縦パスという形作りを何回も見ることができました。小林の縦パスのタイミングや精度というのがこの攻撃パターンの大きなポイントとなっていまして、彼がサガン鳥栖の攻撃のタクトを握っていました。
ただし、前半は相手も体力があってスライドも早く、寄せも早かったので、非常に狭いエリアを狙うことになり、結果としては、縦パスがずれてしまったり、縦パス入るけど入ったところでうまくキープできなかったり、イバルボがハンドを取られてしまったりなどによって、クロスやシュートという成果にはなかなか繋がりませんでした。ただ、失敗してもこの攻撃を続けることに意義があったと思っていまして、この左右の展開により、甲府の中盤は相当のランニングを強いられていまして、特に田中は鳥栖が左サイドから右サイドに展開する際には、中央から小林の位置までスライドしなければならなくなり、後半は相当疲弊していました。これが、アディショナルタイムでのイバルボの縦への突破に田中がついていけなかったことに繋がったのではないかと。じっくりと我慢強くボールキープして攻撃をする事は、その瞬間でゴールにつながらなくても後から利いてくることがあります。
甲府も、じっくりと我慢して守備を行っていましたが、鳥栖のパスミスや展開ミスによって甲府が囲める状態になると、ボールを奪って素早く前線に送り、トップの個の力を前面に利用したカウンターを繰り広げていました。





ちなみに、これが私の前半のツイートです。(下が一番古い)。ちょっとだけやきもきしているのはたぶん気のせいです(笑)

後半に入ると、鳥栖の攻撃のパターンが変わります。右サイドはワイドに福田を構えさせるのは変わりませんが、小林の位置から縦パスを狙うのではなく、サイドの福田に預けてそこから縦に突破したり、中央にカットインしたりとドリブルによる打開を狙います。前半はどちらかというと福田はひきつける役割でしたが、後半は自分の動きによって、右サイドの攻撃を活性化するアクセントの役割を担いました。この福田の突破が甲府ベンチとしては嫌な動きに映ったのでしょう。福田に対処するため、同じウイングバックでもイエローをもらっていた橋爪ではなく、疲れの見えてきた阿部を替えることとなり、ピッチに残した橋爪が2枚目のイエローをもらうことになったのはこの試合の大きなターニングポイントでした。
左サイドは、後半開始当初から河野が左サイドで張るような場面が多くなり、吉田が引いて原川を前に押す出す形に変えてきます。アンヨンウに変えてからはより狙いが明確になり、前半に右サイドで見せたような攻撃を後半は左サイドで構築するようになり、左サイドにアンヨンウを張らせてそこにウイングバックをひきつけ、そのスペースを原川が狙うというシーンを繰り返すようになりました。後半のこのポジショニングの修正はかなり成果があり、原川、吉田、アンヨンウのトライアングルで深いところまで入り込んでからのクロスという形が徐々に多くなってきました。





一人退場した上に同点に追いつかれてしまった甲府としては、後半から押し込まれている左サイドをどうしても抑え込みたいところ。吉田監督の取った選択は、体力的にスライドが厳しくなった3ボランチの脇を利用され、更に退場によってフォワードのカバーリングも期待できず(人がいない)というところを防ぐために、最終ラインを4枚にして中央を4人に増やすというものでした。実際、中盤を4枚に増やされたことによって、原川がディフェンスライン近くまで上がっていく回数も減り(ビルドアップを手助けしないと前から奪われる危険が出てきた)押し込んでいた鳥栖の攻撃が少し停滞することとなりました。


甲府のシステム変更に対して鳥栖も攻撃の形を変えてきます。原川が中央でのつなぎ役(ボールが右サイドに行ったときは、中央にポジションを取って左サイドへつなぐ役割)となり、また、最終ラインが1枚減ったということで、甲府の豊田・イバルボに対する対処がそれぞれセンターバック1枚ずつになったことにより、イバルボが左サイドにポジショニングを固定して甲府のサイドバックとセンターバックの間のスペースに入り込んでボールの引出を狙います。この原川のポジションとイバルボのポジション変更により、吉田・アンヨンウからイバルボに対する縦パスが入るようになり、再び鳥栖が押し込む展開を作ることができました。




左右にボールを振りながら隙を見つけては縦パスを入れ、前線に起点を作りつつ、外に展開してからのクロスや中央への持ち出しなど、粘り強く形にこだわった攻撃を繰り返し、最終的には打ったシュートは19本を数えました。鳥栖の執拗な攻撃がボディブローのように効いて甲府の足を止め、最後はイバルボの縦への持ち出しを許してキムミンヒョクのゴールを生み出しました。センターバック2名のゴールでの勝利という非常に珍しい展開となりましたが、全員攻撃を繰り返した証ということでしょう。
さて、この試合で一番美しいなと思ったのは、この形です。吉田がアンヨンウにボールを渡したところ、サイドバックがアンヨンウのプレッシャーに入ります。吉田はパス&ゴーでそのスペースを狙い、甲府の中盤の選手を引き連れます。その引き連れたスペースに原川が入り、ボールを受けてから前を向いて走りこむ吉田への絶妙なスルーパス。3人の意思疎通によってなしえた素晴らしい攻撃でした。


この試合では、ボールを押し込める形、前線に起点を作る形を選手全体が理解し、しっかりと再現することができました。まずは、攻撃の形を作って相手エリアに押し込みシュートを打つということが大事であり、その機会を数多くつくることがゴールの確率を上げることになります。押し込む機会(シュートの機会)ができたからこそセットプレイを得ることができ、2つのゴールを決めることができました。前半・後半と試合全体を通じて、試合中の相手の対応に応じて鳥栖の選手を動かすことによって次の攻撃パターンを作ることができ、押し込む形を粘り強く作り続けた戦い方こそ、この試合の最大の成果だと考えます。
苦しい戦いながらもなんとか勝利を得ることができたサガン鳥栖。シーズン終了後の賞金にも関わってくるので、ひとつでも高い順位を目指して残りの試合も頑張ってほしいですね。
<画像引用元:DAZN>
試合はサガン鳥栖のカウンターに対する対応のミスによって早い時間帯に甲府が先制することになり、図らずもお互いの戦いに対する姿勢が明確になりました。
甲府は5-3-2で最終ラインを固めながら基本的には自陣でブロックを構え、ボールを奪うとすぐに鳥栖の裏を狙う早い攻撃を仕掛ける戦術。ドゥドゥ、リンス、田中のスピードには鳥栖のディフェンス陣も苦労しており、チャンスと見るや一気呵成に出てくる甲府の攻撃陣は迫力がありました。一人少ない状況でもフォワード2人で崩し切る攻撃は非常に怖く、シュートがバーに当たるシーンや赤星のファインセーブによって防いだシュートなどもあり、鳥栖サポが冷や汗をかくようなシュートシーンを多く作っていました。
一方、鳥栖は、ブロックを構える甲府に対してじっくりとボールを回しながら綻びがおきるエリアを我慢強く探る展開となり、仙台戦に比べるとマッシモさんは攻撃に対する構築を行ってきたようでして、ある程度再現性のある攻撃を続けることができていました。時折、低い位置からのロングボールを豊田に当ててという攻撃も見せましたが、競り勝つ豊田に対するフォローも少なく、ロングボールは大きな成果を生み出すことはありませんでした。
今回は、鳥栖の攻撃戦術を振り返ります。
まずは前半ですが、左サイドは原川が引いた形でビルドアップに入り吉田を前方に押し出す形を作り、サイドでの数的優位を作った上で、吉田に突破させようとする流れが見えました。(前半20分頃以降はずっとこの形でした。)左サイドは小椋が原川の動きを制しており、原川がボールを持ってから運ぶスペースがなかったため、無理せずにボールキープを務めることになりました。左サイドをこじ開けるキーポイントとしては、あとひとり誰が絡むかというところですが、義希はアンカーの位置からの飛び出しは自重しており、河野は右サイドにも中央にも左サイドにも顔を出す頑張りで縦横無尽にランニングしてボールの引出を狙っていましたが、左サイドのメンバーにとっては縦に入れたいときに河野がいないという状況に陥ってしまい、なかなかいい形で崩すことができませんでした。
右サイドでの狙いとしては、福田をサイドに張らせて相手のウイングバックを引き出し、そのスペースをフォワードが狙うという形でした。前半は、右サイドでこの形を作る事はある程度成功していて、左サイドでキープしてから右サイドに展開しそこから縦パスという形作りを何回も見ることができました。小林の縦パスのタイミングや精度というのがこの攻撃パターンの大きなポイントとなっていまして、彼がサガン鳥栖の攻撃のタクトを握っていました。
ただし、前半は相手も体力があってスライドも早く、寄せも早かったので、非常に狭いエリアを狙うことになり、結果としては、縦パスがずれてしまったり、縦パス入るけど入ったところでうまくキープできなかったり、イバルボがハンドを取られてしまったりなどによって、クロスやシュートという成果にはなかなか繋がりませんでした。ただ、失敗してもこの攻撃を続けることに意義があったと思っていまして、この左右の展開により、甲府の中盤は相当のランニングを強いられていまして、特に田中は鳥栖が左サイドから右サイドに展開する際には、中央から小林の位置までスライドしなければならなくなり、後半は相当疲弊していました。これが、アディショナルタイムでのイバルボの縦への突破に田中がついていけなかったことに繋がったのではないかと。じっくりと我慢強くボールキープして攻撃をする事は、その瞬間でゴールにつながらなくても後から利いてくることがあります。
甲府も、じっくりと我慢して守備を行っていましたが、鳥栖のパスミスや展開ミスによって甲府が囲める状態になると、ボールを奪って素早く前線に送り、トップの個の力を前面に利用したカウンターを繰り広げていました。





ちなみに、これが私の前半のツイートです。(下が一番古い)。ちょっとだけやきもきしているのはたぶん気のせいです(笑)

後半に入ると、鳥栖の攻撃のパターンが変わります。右サイドはワイドに福田を構えさせるのは変わりませんが、小林の位置から縦パスを狙うのではなく、サイドの福田に預けてそこから縦に突破したり、中央にカットインしたりとドリブルによる打開を狙います。前半はどちらかというと福田はひきつける役割でしたが、後半は自分の動きによって、右サイドの攻撃を活性化するアクセントの役割を担いました。この福田の突破が甲府ベンチとしては嫌な動きに映ったのでしょう。福田に対処するため、同じウイングバックでもイエローをもらっていた橋爪ではなく、疲れの見えてきた阿部を替えることとなり、ピッチに残した橋爪が2枚目のイエローをもらうことになったのはこの試合の大きなターニングポイントでした。
左サイドは、後半開始当初から河野が左サイドで張るような場面が多くなり、吉田が引いて原川を前に押す出す形に変えてきます。アンヨンウに変えてからはより狙いが明確になり、前半に右サイドで見せたような攻撃を後半は左サイドで構築するようになり、左サイドにアンヨンウを張らせてそこにウイングバックをひきつけ、そのスペースを原川が狙うというシーンを繰り返すようになりました。後半のこのポジショニングの修正はかなり成果があり、原川、吉田、アンヨンウのトライアングルで深いところまで入り込んでからのクロスという形が徐々に多くなってきました。





一人退場した上に同点に追いつかれてしまった甲府としては、後半から押し込まれている左サイドをどうしても抑え込みたいところ。吉田監督の取った選択は、体力的にスライドが厳しくなった3ボランチの脇を利用され、更に退場によってフォワードのカバーリングも期待できず(人がいない)というところを防ぐために、最終ラインを4枚にして中央を4人に増やすというものでした。実際、中盤を4枚に増やされたことによって、原川がディフェンスライン近くまで上がっていく回数も減り(ビルドアップを手助けしないと前から奪われる危険が出てきた)押し込んでいた鳥栖の攻撃が少し停滞することとなりました。


甲府のシステム変更に対して鳥栖も攻撃の形を変えてきます。原川が中央でのつなぎ役(ボールが右サイドに行ったときは、中央にポジションを取って左サイドへつなぐ役割)となり、また、最終ラインが1枚減ったということで、甲府の豊田・イバルボに対する対処がそれぞれセンターバック1枚ずつになったことにより、イバルボが左サイドにポジショニングを固定して甲府のサイドバックとセンターバックの間のスペースに入り込んでボールの引出を狙います。この原川のポジションとイバルボのポジション変更により、吉田・アンヨンウからイバルボに対する縦パスが入るようになり、再び鳥栖が押し込む展開を作ることができました。




左右にボールを振りながら隙を見つけては縦パスを入れ、前線に起点を作りつつ、外に展開してからのクロスや中央への持ち出しなど、粘り強く形にこだわった攻撃を繰り返し、最終的には打ったシュートは19本を数えました。鳥栖の執拗な攻撃がボディブローのように効いて甲府の足を止め、最後はイバルボの縦への持ち出しを許してキムミンヒョクのゴールを生み出しました。センターバック2名のゴールでの勝利という非常に珍しい展開となりましたが、全員攻撃を繰り返した証ということでしょう。
さて、この試合で一番美しいなと思ったのは、この形です。吉田がアンヨンウにボールを渡したところ、サイドバックがアンヨンウのプレッシャーに入ります。吉田はパス&ゴーでそのスペースを狙い、甲府の中盤の選手を引き連れます。その引き連れたスペースに原川が入り、ボールを受けてから前を向いて走りこむ吉田への絶妙なスルーパス。3人の意思疎通によってなしえた素晴らしい攻撃でした。


この試合では、ボールを押し込める形、前線に起点を作る形を選手全体が理解し、しっかりと再現することができました。まずは、攻撃の形を作って相手エリアに押し込みシュートを打つということが大事であり、その機会を数多くつくることがゴールの確率を上げることになります。押し込む機会(シュートの機会)ができたからこそセットプレイを得ることができ、2つのゴールを決めることができました。前半・後半と試合全体を通じて、試合中の相手の対応に応じて鳥栖の選手を動かすことによって次の攻撃パターンを作ることができ、押し込む形を粘り強く作り続けた戦い方こそ、この試合の最大の成果だと考えます。
苦しい戦いながらもなんとか勝利を得ることができたサガン鳥栖。シーズン終了後の賞金にも関わってくるので、ひとつでも高い順位を目指して残りの試合も頑張ってほしいですね。
<画像引用元:DAZN>
Posted by オオタニ at
09:40
│Match Impression (2017)
2017年09月15日
2017 第25節 : ベガルタ仙台 VS サガン鳥栖
残念ながら思わぬ大敗となってしまった仙台戦を振り返ります。
この試合で目を引いたのは仙台のメリハリの利いた(ある意味小気味の良いというか)守備でして、前からプレッシャーにかかるときは鳥栖のセンターバックがボールを持っている時点からプレッシャーをかけてサイドにはめ込んでいき、うまくボールを繋がれたりセカンドボールを拾われたりして自分たちのエリアに侵入された時には、素早くブロックを組んで(ウイングバックとセカンドトップを下げて)5-4-1でスペースを埋めるという、全体が意思統一された守備陣形でした。ポジションの変更もスムーズでして、ウイングバックが鳥栖のサイドバックに付くために前にプレッシャーをかけると仙台のボランチがそのスペースを埋めるなど、チームとして保ちたい形を選手たちが理解している動きでした。
前からのプレッシャーは相当意識していた模様で、鳥栖がビルドアップでボールを保持している際には積極的にセンターバックにプレッシャーをかけ、ウイングバックの2名が鳥栖の両サイドにつくことによって、サイドから縦に前進したい鳥栖のボールの流れを食い止めます。仙台のプレッシャーによって鳥栖が長いボールを蹴らされるシーンも多くなりましたが、豊田がいない状況でしたので必ずしもロングボールに対する優位性を持っているわけではありませんでした。うまくセカンドボールを拾えた時にはチャンスになっていましたが、鳥栖が組織として相手の陣形を崩すようなアイデアには乏しい状態。豊田が入っていたら仙台のプレッシャーのかけ方が変わっていたかはわかりませんが、ロングボールに対する優位性を持つことができて戦況的には変わっていたかもしれません。
仙台の攻撃に対しても、鳥栖はあまり良い形では対処ができておらず、3バックからウイングバックを経由する(もしくはウイングトップを前に押し出してそのスペースをセカンドトップ経由で利用する)仙台に対して、どこのポイントで抑えるかというところの守備のやり方に曖昧なシーンが多々ありました。ボールを奪うプロセスがチーム全体に落とし込めておらず、ウイングバックにボールが出た時に、ハーフが行ったり、サイドバックが行ったり(ハーフが下がって5バックになったり、サイドバックが上がって前から行ったり)実はそれが決まり事だったのかもしれませんが、効果的であったかというと疑問符がつきます。
鳥栖の選手たちの個々の動きは相手の動きを封じようとして動くのですが、チームとしてまとまっていないがために、逆にそのプレッシャーがスペースを生んでしまうシーンが多くあり、簡単にピンチを迎える羽目になってしまいました。
また、仙台のウイングバックに前進を許した時に、奥埜、野津田が積極的に前に飛び出していくことにより、福田、原川、義希がディフェンスラインと並ぶところまでカバーリングしなければならず、その結果、セカンドボールを拾いづらい仕組みを作られてしまっていました。
■その1


■その2

■その3



それでは、それぞれの失点を振り返ります。
1失点目は、まさに押し込まれる要因を作ってしまってから、中盤が最終ラインに吸収してしまってセカンドボールをうまく拾えず、最終的にはオープンな状態でサイドに展開されてしまいました。個々の問題からいうと、1VS1の局面でクロスを上げさせてしまった原川の対処もしかりですが、クロスが上がるところで(あくまでセオリーで行けば)クロスを上げる相手プレイヤーと平行にラインを整えなければなりませんが、縦への突破に対して相手よりも前方で構えてしまったことによってキーパーとディフェンスとの間に飛び込まれる隙を作ってしまい、そのスペースを利用して石原に飛び込まれてしまいました。権田が前に出て触るトレーニングを積んでいるというコメントもありましたが、なるべくなら、そのような場面が来ないようにディフェンス陣でカバーしたいところですね。
なお、クロスの際のディフェンスラインに関しては、4失点目も同じような局面を迎えています。相手がクロスを上げる位置と平行に並んでいれば、最初のクロスでクリアできていましたので、クロスが上がるときにどこにポジショニングを取るのかというのはいろいろな考え方があるのですが、少なくともラインが整っていないとオフサイドも取れませんし、相手に飛び込まれるスペースを作ってしまう要因となります。


2失点目は、まさにガンバ大阪戦での失点と同じような場面を作ってしまいました。仙台の前からのプレッシャーを上手くはがし、中央でボールを繋いで河野へ渡したのですが、彼のワンタッチでのパスが仙台DFに引っかかってしまいました。この後のネガティブトランジションでのチームとしての動きが非常に大事でして、相手に奪われたときにすぐに奪い返すことができるのか、それができなければ、チームとしてピンチを生み出す元となるスペースを与えていないか、という意識を持って次のプレイに繋げる事が大事です。そこにピンチの種があるならば、フォワードであるとかハーフであるとかいうポジション関係なく、スペースを埋めることがチームの組織的な守備ということになります。
今回も、ガンバ戦と同様に空けてしまったサイドの大きなスペースを埋める事のできないまま、仙台に中央からサイドへの展開を許し、シュートを決められてしまいました。河野が入ったことにより、彼のプレイスタイル(彼のアイデア)によって攻撃に転ずる際のスピードアップが図れています。しかしながら、その動きがうまく攻撃に繋がらなかった時には(相手にボールをカットされたときには)失点のリスクを抱えています。そのスピードやアイデアが得点に結びつけばよいのですが、リスクが顕在化してばかりで失点が多くなってしまうと、戦い方やプレイスタイルの修正も要検討となります。
さて、3失点目ですが、ここは守備のチャレンジによってスペースを空けてしまったことが失点の起因となります。イバルボがボールを奪われて、仙台が石原に繋ぎ、そこから奥埜を経由して三田に落とすのですが、その動きを察知して吉田が前でボールを奪おうとします。ところが、吉田が上手い形でボールをカットできず、三田がボールをキープしたところで仙台のスピードがあがります。素早く右サイドの古林に展開するのですが、吉田が前に出てそのスペースを空けてしまっているので、スンヒョンが釣り出されてしまう格好となります。これにより、鳥栖の中央に大きなスペースを生んでしまい、後はそのスペースを使うべく良いタイミングで古林がボールを送り込み、奥埜が落としたボールを三田がフィニッシュという、仙台サポーターからすると申し分のないような気持ちのよいゴールでした。
ここは、もう一つミスがありまして、ピンチであることを察知して、義希がディフェンスラインに戻るのですが、その戻る位置がミンヒョクとかぶっています。これにより、スンヒョンが空けたスペースを誰もカバーリングできない状態を生んでしまっています。
この状況では、義希が戻ってきていたので、ミンヒョクがスンヒョンの空けたスペースにスライドしてそのスペースを義希が埋めるという動きが正解でしょうか。センターバックが釣り出されたときにどのような動きで最終ラインをカバーリングするかというのは、これから深めていなければならない課題ですね。このシーンではボールにもスペースにも人にも良い対処が出来ていなかったです。



反省点を挙げればきりがないのですが、早い時間帯に失点してしまって、権田を失ったというストレスもあり、チーム全体の中でのプレイの方向性(攻め・守り・チャレンジ・カバー)にブレがあったように見えました。また次節に向けてしっかりと振り返り、前を向いて頑張っていただきたいですね。。
<画像引用元:DAZN>
この試合で目を引いたのは仙台のメリハリの利いた(ある意味小気味の良いというか)守備でして、前からプレッシャーにかかるときは鳥栖のセンターバックがボールを持っている時点からプレッシャーをかけてサイドにはめ込んでいき、うまくボールを繋がれたりセカンドボールを拾われたりして自分たちのエリアに侵入された時には、素早くブロックを組んで(ウイングバックとセカンドトップを下げて)5-4-1でスペースを埋めるという、全体が意思統一された守備陣形でした。ポジションの変更もスムーズでして、ウイングバックが鳥栖のサイドバックに付くために前にプレッシャーをかけると仙台のボランチがそのスペースを埋めるなど、チームとして保ちたい形を選手たちが理解している動きでした。
前からのプレッシャーは相当意識していた模様で、鳥栖がビルドアップでボールを保持している際には積極的にセンターバックにプレッシャーをかけ、ウイングバックの2名が鳥栖の両サイドにつくことによって、サイドから縦に前進したい鳥栖のボールの流れを食い止めます。仙台のプレッシャーによって鳥栖が長いボールを蹴らされるシーンも多くなりましたが、豊田がいない状況でしたので必ずしもロングボールに対する優位性を持っているわけではありませんでした。うまくセカンドボールを拾えた時にはチャンスになっていましたが、鳥栖が組織として相手の陣形を崩すようなアイデアには乏しい状態。豊田が入っていたら仙台のプレッシャーのかけ方が変わっていたかはわかりませんが、ロングボールに対する優位性を持つことができて戦況的には変わっていたかもしれません。
仙台の攻撃に対しても、鳥栖はあまり良い形では対処ができておらず、3バックからウイングバックを経由する(もしくはウイングトップを前に押し出してそのスペースをセカンドトップ経由で利用する)仙台に対して、どこのポイントで抑えるかというところの守備のやり方に曖昧なシーンが多々ありました。ボールを奪うプロセスがチーム全体に落とし込めておらず、ウイングバックにボールが出た時に、ハーフが行ったり、サイドバックが行ったり(ハーフが下がって5バックになったり、サイドバックが上がって前から行ったり)実はそれが決まり事だったのかもしれませんが、効果的であったかというと疑問符がつきます。
鳥栖の選手たちの個々の動きは相手の動きを封じようとして動くのですが、チームとしてまとまっていないがために、逆にそのプレッシャーがスペースを生んでしまうシーンが多くあり、簡単にピンチを迎える羽目になってしまいました。
また、仙台のウイングバックに前進を許した時に、奥埜、野津田が積極的に前に飛び出していくことにより、福田、原川、義希がディフェンスラインと並ぶところまでカバーリングしなければならず、その結果、セカンドボールを拾いづらい仕組みを作られてしまっていました。
■その1


■その2

■その3



それでは、それぞれの失点を振り返ります。
1失点目は、まさに押し込まれる要因を作ってしまってから、中盤が最終ラインに吸収してしまってセカンドボールをうまく拾えず、最終的にはオープンな状態でサイドに展開されてしまいました。個々の問題からいうと、1VS1の局面でクロスを上げさせてしまった原川の対処もしかりですが、クロスが上がるところで(あくまでセオリーで行けば)クロスを上げる相手プレイヤーと平行にラインを整えなければなりませんが、縦への突破に対して相手よりも前方で構えてしまったことによってキーパーとディフェンスとの間に飛び込まれる隙を作ってしまい、そのスペースを利用して石原に飛び込まれてしまいました。権田が前に出て触るトレーニングを積んでいるというコメントもありましたが、なるべくなら、そのような場面が来ないようにディフェンス陣でカバーしたいところですね。
なお、クロスの際のディフェンスラインに関しては、4失点目も同じような局面を迎えています。相手がクロスを上げる位置と平行に並んでいれば、最初のクロスでクリアできていましたので、クロスが上がるときにどこにポジショニングを取るのかというのはいろいろな考え方があるのですが、少なくともラインが整っていないとオフサイドも取れませんし、相手に飛び込まれるスペースを作ってしまう要因となります。


2失点目は、まさにガンバ大阪戦での失点と同じような場面を作ってしまいました。仙台の前からのプレッシャーを上手くはがし、中央でボールを繋いで河野へ渡したのですが、彼のワンタッチでのパスが仙台DFに引っかかってしまいました。この後のネガティブトランジションでのチームとしての動きが非常に大事でして、相手に奪われたときにすぐに奪い返すことができるのか、それができなければ、チームとしてピンチを生み出す元となるスペースを与えていないか、という意識を持って次のプレイに繋げる事が大事です。そこにピンチの種があるならば、フォワードであるとかハーフであるとかいうポジション関係なく、スペースを埋めることがチームの組織的な守備ということになります。
今回も、ガンバ戦と同様に空けてしまったサイドの大きなスペースを埋める事のできないまま、仙台に中央からサイドへの展開を許し、シュートを決められてしまいました。河野が入ったことにより、彼のプレイスタイル(彼のアイデア)によって攻撃に転ずる際のスピードアップが図れています。しかしながら、その動きがうまく攻撃に繋がらなかった時には(相手にボールをカットされたときには)失点のリスクを抱えています。そのスピードやアイデアが得点に結びつけばよいのですが、リスクが顕在化してばかりで失点が多くなってしまうと、戦い方やプレイスタイルの修正も要検討となります。
さて、3失点目ですが、ここは守備のチャレンジによってスペースを空けてしまったことが失点の起因となります。イバルボがボールを奪われて、仙台が石原に繋ぎ、そこから奥埜を経由して三田に落とすのですが、その動きを察知して吉田が前でボールを奪おうとします。ところが、吉田が上手い形でボールをカットできず、三田がボールをキープしたところで仙台のスピードがあがります。素早く右サイドの古林に展開するのですが、吉田が前に出てそのスペースを空けてしまっているので、スンヒョンが釣り出されてしまう格好となります。これにより、鳥栖の中央に大きなスペースを生んでしまい、後はそのスペースを使うべく良いタイミングで古林がボールを送り込み、奥埜が落としたボールを三田がフィニッシュという、仙台サポーターからすると申し分のないような気持ちのよいゴールでした。
ここは、もう一つミスがありまして、ピンチであることを察知して、義希がディフェンスラインに戻るのですが、その戻る位置がミンヒョクとかぶっています。これにより、スンヒョンが空けたスペースを誰もカバーリングできない状態を生んでしまっています。
この状況では、義希が戻ってきていたので、ミンヒョクがスンヒョンの空けたスペースにスライドしてそのスペースを義希が埋めるという動きが正解でしょうか。センターバックが釣り出されたときにどのような動きで最終ラインをカバーリングするかというのは、これから深めていなければならない課題ですね。このシーンではボールにもスペースにも人にも良い対処が出来ていなかったです。



反省点を挙げればきりがないのですが、早い時間帯に失点してしまって、権田を失ったというストレスもあり、チーム全体の中でのプレイの方向性(攻め・守り・チャレンジ・カバー)にブレがあったように見えました。また次節に向けてしっかりと振り返り、前を向いて頑張っていただきたいですね。。
<画像引用元:DAZN>
Posted by オオタニ at
18:11
│Match Impression (2017)
2017年09月10日
2017 第24節 : サガン鳥栖 VS ガンバ大阪
ユーリコラボという効果もあって、多くの観衆を集めたガンバ大阪との戦いだったのですが、残念ながら1-3で敗れてしまいました。
全体的に鳥栖の選手が、ここならば「大丈夫」「間に合う」「来ない」という自分の物差しがあって、それ以上のプレイをガンバがしてしまったように見えました。失点に繋がった倉田のシュートや井手口のクロスの場面もそうですが、それ以外の場面でもイーブンのところを相手に持っていかれたり、トランジションの所で奪いかえされる場面が多く、もう一歩足を速める、もう一歩早いパスを送るという事ができるだけで相手との間合いも変わるのに、その部分が試合全体と通じてガンバに劣っていたかなと。
セカンドボールを拾える確率を高くするには、ひとつひとつのプレイスピード(特に判断のスピード)を上げていくしかないですよね。今回は選手たちの物差しを調整する良い機会です。リスクマネジメント能力が向上する良いきっかけになれば良いなと思います。
また、1失点目を下図にまとめましたが、トランジション時のガンバのプレスの速さに屈してボールロストしてしまう所から始まっています。守備の選手たちはそろっているように見えますが、一人選手が欠けるだけでも強豪相手には大きなピンチとなってしまいます。もし、攻守の切り替えの状況ではなく、鳥栖の選手がブロックを組んでいる状態であれば、河野が倉田に対してプレスに入っていたでしょう。攻守の切り替え時のボールロストはこのように大きなピンチを生んでしまいます。もちろん、倉田のシュートも素晴らしかったのですが、そこに至るまでのプロセスも見逃せる物ではありませんでしたので記載しました。それにしても、ガンバのトランジション時のグループとしての動きが見事でした。





<画像引用元:DAZN>
全体的に鳥栖の選手が、ここならば「大丈夫」「間に合う」「来ない」という自分の物差しがあって、それ以上のプレイをガンバがしてしまったように見えました。失点に繋がった倉田のシュートや井手口のクロスの場面もそうですが、それ以外の場面でもイーブンのところを相手に持っていかれたり、トランジションの所で奪いかえされる場面が多く、もう一歩足を速める、もう一歩早いパスを送るという事ができるだけで相手との間合いも変わるのに、その部分が試合全体と通じてガンバに劣っていたかなと。
セカンドボールを拾える確率を高くするには、ひとつひとつのプレイスピード(特に判断のスピード)を上げていくしかないですよね。今回は選手たちの物差しを調整する良い機会です。リスクマネジメント能力が向上する良いきっかけになれば良いなと思います。
また、1失点目を下図にまとめましたが、トランジション時のガンバのプレスの速さに屈してボールロストしてしまう所から始まっています。守備の選手たちはそろっているように見えますが、一人選手が欠けるだけでも強豪相手には大きなピンチとなってしまいます。もし、攻守の切り替えの状況ではなく、鳥栖の選手がブロックを組んでいる状態であれば、河野が倉田に対してプレスに入っていたでしょう。攻守の切り替え時のボールロストはこのように大きなピンチを生んでしまいます。もちろん、倉田のシュートも素晴らしかったのですが、そこに至るまでのプロセスも見逃せる物ではありませんでしたので記載しました。それにしても、ガンバのトランジション時のグループとしての動きが見事でした。





<画像引用元:DAZN>
Posted by オオタニ at
15:24
│Match Impression (2017)