2018年01月21日
生え抜き選手・ユース選手の在籍率と成績の関係
昨シーズンは、田川、石川という鳥栖ユースから昇格した2名がサガン鳥栖のトップチームに加わり、地元の期待を一身に背負った活躍を演じてくれました。特に田川はU-21世代の日本代表に選ばれるなど、同世代の中でも頭角を現しつつあります。
また、ユースと言えば、日本クラブユースサッカー選手権(U-15)優勝、全日本ユースサッカー選手権大会優勝という輝かしい成績を残しました。U-18もプレミアリーグ昇格こそ逃しましたが、プリンスリーグ九州優勝という立派な成績を残しました。トップチームだけでなく、アカデミー年代への強化策も着実に実を結んできております。
個人的には、J1リーグで強いチームはユース世代の強化も進んでいるイメージがあります。ユース世代から優秀な選手をトップチームに送り出すことは地元の応援熱もますます上昇しますし、生え抜き選手としてホームタウンやチームのことを理解して伝統を受け継ぐというのは、総合的なチーム力向上に資するものがあると思っています。
2018シーズンはユースからの昇格はなかったのですが、今後、田川や石川のようにルーキーイヤーに試合出場できるようなポテンシャルを持った選手たちがどんどん現れてくれるといいなと思います。
さて、鳥栖もかつての未曽有の経営危機を迎えていた頃は、なかなかユースにかける費用もままならない状態でした。サガンドリームスが経営を引き継いでから、少しずつではありますが、ユース強化にかける費用も増加してきました。地道な努力と投資が実を結んできた次第でありますが、経営が徐々に安定してきたからこそ、ユースチームの成績もトップチームの成績も向上してきたかのように思えます。(経営の安定が戦況に好影響をもたらすのは、昨年の長崎を見ると明らかですよね。)
そこで、昨シーズンのJ1リーグの生え抜き率・ユース出身率と成績との関係を調べてみました。
表の下の方に、生え抜き選手と成績、ユース出身選手と成績、それぞれの相関係数を計算しており、それぞれの散布図もつけております。
なお、浦和レッズに関しては、生え抜き率が唯一1ケタ台ということもありまして、チームの特性を考慮し「特異値」とみなした場合として、浦和抜きの計算も行ってみました。



その結果、昨シーズンの限ってですが、相関係数的には、生え抜き率が高いほど、ユース出身の選手が多いほど、成績が良くなるという傾向が表れています。
ひとつは、生え抜き選手が多いと、それだけチームの事(ホームタウンの事)を理解する期間が長いという事で、組織としての結束がより図れるのではないかと考えます。サガン鳥栖の例でいうと生え抜きではありませんが、在籍期間の長い豊田が「サガン鳥栖らしさ」と言っていました。チームスポーツなので、あるべき方向性を見据え、そこに向かってチームを束ねる(戦い方をはっきりする)ということを考えると、生え抜き選手やユースからの選手が多い方が同じ釜の飯を長い期間食っている期間が長くなり、自然とチームワークに繋がるのではないかと。
当然、成績は監督の力量によるところもありますし、「チームワーク」そのものが数値化できない非常に抽象的なものではあるのですが、「チームの象徴」と呼ばれる選手がより多い方がサポーターも含めた一体感が生まれ、成績に繋がりやすいのではないかと考えます。
また、どうしても、プロビンチャのチームは、育てた選手が他チームに移籍する(せざるを得ない)傾向にあります。そうなってくると、育て上げた生え抜き選手が、(海外も含めた)ビッククラブに移籍することになり戦力ダウンが否めません。鹿島や柏のように、他チームに行く選択肢よりも自チームに残った方がタイトルを目指せたり、契約金を豊富に出すことができるのであれば、チームに残る選択が増えるでしょうが、下位のチームであれば、海外やビッククラブへの移籍が大いに選択肢の中に入ってきます。これも一つの理由となっていると考えます。
もうひとつは、(私は、意外とこれが大きな要素である気がしますが)成績が悪いと、シーズン途中の補強が多くなってくるからだと考えます。昨シーズンは、新潟が降格のピンチに立たされた時に、鳥栖から新潟に富山、小川と2名の選手がレンタル移籍をしました。チームがうまく行っていない時は、海外選手の大幅な入れ替えも実施されますし、ある意味、生え抜きが多いから成績が良いというのと対局で、成績が悪いから補強する(結果、生え抜きが減る)という逆の論理ですね。
数値的には、このような結果がでましたが、サンプルデータが昨年度だけという少ない点と、上記に記載した因果関係ではまだまだ不明瞭な点が多い事より、確実に生え抜き率(ユース率)と成績に関係があるとは言い切れないものの、何となく、イメージ的なものとしては、総合的なチーム力がありそうな気はします。
また、特異値と見なして除外した浦和レッズですが、こちらは言わずもがな、豊富な資金力で即戦力選手を補強し、しかも結果を残しているチームです。今後、Jリーグにこのようなチームが増えてくると、生え抜き選手が多いからという相関は崩れるかもしれませんが、ますますビッグクラブとプロビンチャの成績の差は生まれるかもしれません。
名古屋グランパスがJ1に昇格してから海外の大物助っ人を補強していますので、今後は、もしかしたら浦和レッズのような即戦力を束ねて結果を出してくるようなチームになるかもしれません。
サガン鳥栖としては、田川、石川というユースから昇格してくれた宝を大事に育てていかなければならないですし、赤星、池田、義希(生え抜きではカウントしてませんが事実上生え抜き)と言ったベテランの残留も大きいですし、福田、三丸というこれから将来を背負ってくれるであろう選手たちへの期待も在籍期間が長くなるにつれてますます大きくなります。
これらの生え抜き選手と、生え抜き選手たちを凌ぐほどの人気と実力を持つ、様々な経験を積んで鳥栖に来てくれた選手たちが上手に融合して、今年こそ、チームとして最高の成果を残してほしいなと思います。
最後に、2018シーズンにおける、現在時点でのデータを載せておきます。
今シーズンの生え抜き選手率と最終成績を基に、シーズン終了後に改めて振り返ってみたいと思います。

Posted by オオタニ at
18:27
│Data Analysis