サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2015年12月15日

2015年M-1グランプリ採点データ分析

サッカーまったく関係ないですが、ちょっと面白そうだったので、M-1の採点結果を分析してみました。

↓画像クリックすると採点表が見られます。
2015年M-1グランプリ採点データ分析

2015年M-1グランプリが、前回開催から5年の時を経て開催されました。久しぶりの開催で、審査員も刷新されましたし、登場したメンバーもそれぞれ個性を発揮して非常によかった大会だと思います。

さて、今回は、審査員が歴代優勝者の中から選ばれたということで、審査される側から審査する側に回るという、私の業界で言うとプログラマーが突然プロジェクトマネージャーになった…という表現が適切かどうかわかりませんが、大会に出場していた時と比べるとまた別のプレッシャーを受けていたと思います。

芸風も違えば、評価する視点もそれぞれ異なるわけでありまして、新しい審査員の皆様がどのような採点傾向にあったのか、採点結果のデータを分析してみました。


1.審査員ごとの標準偏差について

標準偏差とは、簡単に言うと、平均値からはずれている数値の平均のことで、点数がどの程度の幅の中で存在するかを示す指標です。標準偏差が高ければ高いほど、低い点から高い点までの幅があったということになります。

今回、審査員ごとの標準偏差を見ると、3点以上の差をつけているのが3名で、岩尾さんと吉田さんと石田さんでした。率直に言うと、私が、今回審査員としての仕事を全うしたベスト3をつけるとすればこの3名です。

得点の幅をつけるというのは、非常に勇気のいる事です。点数の幅をつけることによって、当落に大きな影響を与えることになります。特に、低い点をつけるとその芸人との関係を保つことが難しくなるかもしれません。高い点をつけても、それが視聴者の意向に沿わなかったら物議を醸す原因となります。

審査する以上は、「おもしろい」「おもしろくない」「上手」「下手」を評価し、その優劣をしっかりと点数で示す事が必要です。実際に、この3名は、最低点から最高点までに10点以上の幅をつけており、100点満点というのを意識して審査をしようという意識が感じられます。

岩尾さんは放送の中で、審査員としての威厳を感じてらっしゃいましたし、石田さんも審査に備えて過去のM-1を研究したという話も聞きますし、吉田さんもTwitterなどで高い点数、低い点数を与える勇気と労力を語っていらっしゃいます。他の方も裏ではいろいろな努力をされていたのかもしれませんが、この3人はその努力を点数という形でしっかりと表現できていたと思います。

逆に、標準偏差が少ない3名は、富沢さん、佐藤さん、哲夫さんです。100点満点での採点であるのですが、標準偏差が1点台ということは、平均からはずれても1点~2点ということで、ちょっと守りに入った審査かなと思いました。最低点から最高点の幅も5点~6点しかなく、審査の上で優劣があまりなく、すべての出場者が一様におもしろかったという評価をしたと捉えるしかありません。

特に今回の出場者はそれぞれが特徴のある漫才をしておりまして、みんながオーソドックススタイルというわけではなく、好き好みの取捨や自分のスタイルとの比較は発生します。出場者の評価に対しての責任を放棄したとまでは言いまえせんが、現役であるが故に、遠慮が大きく前に出てしまった採点だなと感じました。私がプロデューサーならば、次回の審査オファーは保留です(笑)

では、その中間の3名である徳井さん、礼二さん、増田さんはどのような評点だったかというと、それぞれ特徴があっておもしろい審査でした。

まず、徳井さんは、2組(ジャルジャル、銀シャリ)だけに突出して高い点数を与え、最終決戦進出にふさわしいと思った組にはしっかりと評価として点数を与えております。それ以外のメンバーに対しては、88点~91の中での範囲による採点となっており、自分の琴線に触れなかった出場者にはそれなりの点数しか与えていません。徳井さんは、3組が決勝進出であることを意識し、3組を自分で選ぼうとしていたのではないかなと思いました。徳井さんが選んだ2組以外の出場者は、徳井さん的には決勝進出には値しなかったという判断なのかもしれません。

次に礼二さんは、結果そうなっただけなのかもしれませんが、全ての出場者にしっかりと順位付けを行い、順位が上がるごとに1点ずつ上乗せした点数をつけることで、幅を付けました。3位としたスーパーマラドーナとハライチこそ同点で92点にしておりましたが、それ以外はしっかりと順位付けををしております。こういう採点方法もありなのかなと思いました。

最後、増田さんは、芸風、スタイルを重視し、その場の雰囲気にのまれない意図を持った点数をつけているのを感じました。増田さんの審査では、全体の6位である和牛に対して2番目に高い点数を与えております。ボケ、ツッコミの二人が偏りなく「言葉」で笑いを作り出しているスタイルに高評価を与えているような気がしました。その分、漫才というにはややスタイルがはずれるかなと思われるメイプル超合金、馬鹿よあなたは点数が低かったです。ジャルジャルに関しても、かけあいの面白さという点はあるものの、ボケ・ツッコミのスタイルからはずれたからかやや低い点数となり、増田さん的ベスト3にはいっていませんでした。

ジャルジャルをベスト3に入れなかったのは増田さんと礼二さんだけであり、審査員の中でもどちらかというと古株の2名の評価が低かったのは興味深いところですね。

2.出場者ごとの標準偏差について
出場者ごとの標準偏差を見ると、一番点数に幅があったのは、馬鹿よあなたはでした。馬鹿よあなたはについては、今回の出場者の中で一番好き好みが分かれたということになります。実際、今回の出場者の中でベスト3に値するという評価をしている審査員(富沢さん)もいました。
そして、実は出場者ごとの標準偏差が2番目に高いのはジャルジャルでした。平均点が高い中でのブレなので、最終決戦に進出するには問題はないのですが、思いのほか、予選の段階でジャルジャルを高評価している審査員とそうでもない審査員に分かれていたことになります。

3.上位得票について
今回は、合計得点の上位3組が最終決戦への進出を行うことができたのですが、審査員単位で上位3組をカウントしてみました。(審査員列の黄色いセル)
興味深いのは、実際の順位で4位だったタイムマシーン3号よりも、スーパーマラドーナの方が「ベスト3だった」と評価した審査員が多いことです。
しかも、審査方法が「出場者の順位を付けてください」の方式でしたら、スーパーマラドーナは銀シャリと同点3位でした。
スーパーマラドーナは、惜しくも最終決戦には行けなかったのですが、展開次第では十分に最終決戦に残れたと思います。
今回は、すべての出場者に対してベスト3採点に最低でも1票ずつ入っています。全体的にはずれの組なく面白かったM-1だと思いましたが、実際に審査員の票も割れていました。

以上が今回の分析です。
笑い飯哲夫くんの「2点少なくした」というボケでスーパーマラドーナが激怒(のふり?)をしていましたが、出場者のその後の人生が決まるという点では、審査員の方もすごく責任感を感じながら採点を行っていたのではないでしょうか。何はともあれ、みなさん、大役おつかれさまでした。


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Posted by オオタニ at 09:14 │Other Diary