サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

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Posted by さがファンブログ事務局 at

2017年10月06日

2017 第28節 : サガン鳥栖 VS 鹿島アントラーズ

鹿島戦は、試合終了間際にあげた福田のゴールによって、久しぶりのウノゼロでの勝利となりました。浦和戦とは異なり、前線からのアグレッシブな守備からのボール奪取による素早い攻撃と、堅固なブロックによる守備からのビルドアップ攻撃をうまく使い分け、監督も満足と語っていましたが非常に質の高い動きを見せてくれた戦いでした。試合のポイントを簡単に振り返ります。

攻撃では、ここ最近のスタイルと同様、左サイドは原川が引いてビルドアップを担い、吉田を前に押し出してスピードと縦への突破を生かす形、右サイドは福田が横幅を取りながら、小林からの縦へのパスを引き出す形でした。

この試合の鳥栖の攻撃で目立ったのは、相手のポジションのライン間や選手の間のスペースでボールを受ける意識が非常に高く、選手間のポジションも非常にバランスがとれた形で、孤立することのないような仕組みになっていました。特に、前線の選手たちのセンターバックとセンターバックとの間やセンターバックとサイドバックの間、このスペースを作り出して有効活用しようとする動きが良かったです。

鳥栖としては、ポジションのライン間に選手がいることによって、鹿島の選手に守備としてどのような対応をするのか、選択を迫ることができます。鹿島がボールの行き先となりそうな選手に食いついてきた場合には、動いて空いたスペースを狙う事が可能となり、鹿島が守備のバランスを維持し、スペースを空けないようにブロックを組んでいた場合には、ライン間の選手にボールを配球することができます。裏を返すと、守備側としては意識の統一(組織としての統率)が必要なわけで、全体が連動せずに誰か一人が食いついたり、誰か一人がブロックを組んだままだとスペースを与えてしまい、また、フリーの選手を作ってしまうわけなのです。

当然、フィールドプレイヤーの10人がすべてのスペースを守る事はできないので、守備側としては相手が攻撃を仕掛けるスペースや選手に対して狙いを絞って(意識を合せて)守備を行う必要があるのですが、この試合は、割と鹿島の守備組織のズレが発生するシーンが多く、そのズレによって生じたスペースを狙って、鳥栖が効果的にボールを運ぶことが出来ていましたし、前半からしっかりとシュートチャンスに結びつけていました。後は、シュートを決めるだけだったのですけど…なかなかそこはですね(笑)

もうひとつ、イバルボに対するケアは鹿島全体として徹底していましたが、イバルボがそのマークをモノともしない高いボールキープ力によってマッチアップした選手(センターバック)を引き連れてスペースを作り、そしてそのスペースに対して小野や原川が飛び込んでいくという連動性の高い攻撃ができていました。


■最終ライン間を狙う攻撃

















このように、鳥栖は、試合を通じて全体をバランスよくインサイド、アウトサイドに選手を配置し、鹿島の選手間のスペースを狙う動きを狙っていました。この攻撃が奏功し、福田の決勝点はほぼフリーでシュートを放つことができました。鹿島の守備としての中央への絞り方、選手に対するアプローチを逆手に取った形での得点でした。

鹿島としては、選手交代のカードが攻撃の選手だったので、ベンチからは勝ちにいきなさいというメッセージが送られていたのでしょう。ただ、鳥栖がボールを持っている時のアプローチをどのように取るのかというところは、選手間の意識のずれがあったかもしれません。福田の決勝点のシーンでは、前線の5人はボールを追って前から取ろうとしていましたが、鳥栖のフォワードが押し込んでいたということもあり、中盤から後ろの5人は鳥栖の攻撃に備えているような状態となりました。これにより、鳥栖のビルドアップでフリーになっている選手が生まれ、最終的には5人と5人との大きなギャップに福田がポジションを取ってボールを受けることができました。

ここからの攻めも秀逸でして、イバルボとアンヨンウがこの試合のコンセプトである、センターバック間にポジションを取り、そこから抜けだすアンヨンウと、ファーサイドに引き付けるイバルボと言う形で、分断することに成功しました。福田の判断もよく、アンヨンウへのパスを出した後は、彼もまたセンターバックとサイドバックの間のスペースをめがけてランニングを行います。

もうひとつのポイントとしては、福田がボールを受けて田川のクロスがあがるまで、鹿島の守備陣は備えていた5人だけで迎え撃たなければならなくなった事です。鹿島が前からボールを奪おうとして出ていったことが、前線の5人が最終ラインへ帰陣する遅れを生んでしまいました。福田に対するマークのずれもさることながら、田川がノープレッシャーでクロスをあげることが出来たことは鹿島としての対応のミスでしょう。そのミスをついて、ビルドアップから前進・フィニッシュまで福田がすべてのプレーに絡んだ素晴らしいゴールでした。









鹿島としても、決してチャンスがなかったわけでもなく、レアンドロのドリブルによるチャンスメイクや、金崎が吉田の裏のスペースをついた動きなどで、幾度となく起点を作っていました。特にサイドバックへの裏を狙った攻撃に関しては、速攻によるチャンスメイクもさることながら、ビルドアップによって吉田を引き付けた裏を狙う攻撃もできておりました。左サイドへのカバーリングを行うためチョンスンヒョンが引っ張り出されていたケースが何度かあり、金崎にマッチアップさせてからのクロスと言う形作りは、鹿島として狙い通りだったのでしょう。

鳥栖の守備は、センターバックが引き出されたときのつるべの動きが整理されており、セントラルハーフ(義希や福田)のディフェンスラインへのリトリートによるカバーリング、サイドバック(吉田・小林)の絞りによるセンターバック化というタスクをしっかりとこなしていました。小林のゴール前のクロスに対するクリアは非常によく目立ちますよね。無論、チョンスンヒョンの金崎への対応も良かったです。崩されかけながらも、決定的なピンチを迎えることなく、失点を喫するまでには至りませんでした。





アグレッシブでかつリスクを最小限に抑えた効率的な戦いで連勝中の首位から勝ち星を挙げたのは、チームにとっても好影響を与えるでしょう。特に、報道では、マッシモさんの契約延長が決まったということで、これからの戦いは決して消化試合ではなく、来年も見据えた戦いにもなります。今シーズン残り試合、ひとつでも上の順位を目指し、少しでもチームのレベルを高めて欲しいと思います。

<画像引用元:DAZN>
  

Posted by オオタニ at 18:30Match Impression (2017)