サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

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Posted by さがファンブログ事務局 at

2017年10月26日

2017 第30節 : ヴィッセル神戸 VS  サガン鳥栖

ヴィッセル神戸戦で、サガン鳥栖は今シーズンアウェー2勝目を挙げることができました。アウェーをメインに活動しているサポーターの方も久しぶりに勝利の美酒に酔いしれたのではないでしょうか。さて、その試合内容ですが、前半から得点を取り合う展開になりました。後半はブロックを作る形でなんとか守り切ってそのまま2-1で試合をクロージングすることができたのですが、そのあたりの試合展開の変化を中心に振り返ります。

試合開始当初は、サガン鳥栖は4-3-2-1というセットアップで試合に入りました。これはあくまでセットアップであり、当然試合展開に応じて選手の判断でポジション変更するのですが、守備におけるセカンドトップの2名の動き方に関しては、それぞれ違ったタスクが与えられておりました。まず、田川に関しては、攻撃の際には前方に飛び出しボールを引き出す動きを見せると共に、神戸に押し込まれた際には、中盤に1列下がることによって守備のバランスをとるような動きが多く見えました。一方、アンヨンウに関しては、チーム全体が守備一辺倒にならないように、神戸がボールを保持している時でもカウンターの起点となるように少し高い位置にポジショニングを取っておりました。チームがプレッシャーを受けてボールを繋げない時は、彼をめがけてロングボールを蹴るケースが多く、サイドバックとの競り合いに勝つことによって右サイドの起点となることを任せられておりました。

神戸の先制点はまさにそのアンヨンウのポジショニングが高いことによるスペースをうまく利用されてしまいました。神戸は、右サイドに寄せたところに生まれたスペースをサイドチェンジと共に左サイドバックを活用していたのですが、試合後のインタビューを聞くに神戸の選手たちには事前にその指示が出ていたのでしょう。

(アンヨンウのポジショニングがマッシモさんの意図しているものだとして)鳥栖のハーフがスライドしきれないスペースを利用されるのはやむを得ないのですが、頂けなかったのは、カバーリングに戻ってきたアンヨンウが簡単に飛び込んで交わされてしまったので、小林が前に出てプレッシャーをかけなければならなくなってしまった事です。これにより、ゴール前に致命的なスペースを空けてしまうことになりました。さすが、ワールドクラスの選手はそのスペースを見逃さないなと思ったのですが、ポドルスキは神戸がゴール前でボールを保持している最中にそのスペースを見つけるやいなや即座に進出してきており、渡邊千真からの胸トラップパスをフリーでゴールに流し込むことに成功しました。アンヨンウが空けたスペースはやむを得ないとして、小林が空けたスペースをどのように対応するべきであったかというのは今後の課題ですね。











さて、そうやって先制点を奪われてしまったのですが、同点ゴールはそのアンヨンウのポジショニングが功を奏します。神戸のセンターバックからの縦パスを鳥栖の中盤がカットして、場面は攻撃へのトランジションへと移りますが、その時には既にイバルボが神戸の最終ラインの所にポジションを取っておりました。ここから繊細な動きがあるのですが、右サイドの高い位置にアンヨンウがポジションを取っており、鳥栖の中盤が前を伺ったところで右サイドを駆け上がります。その瞬間、渡部がアンヨンウの上りをケアするためにマーキングに入ろうとサイドへ動きます。これによって、ビルドアップで最終ラインに下がっていた高橋と渡部との間にスペースが生まれました。まさに、ゴール前への門が開いた瞬間です。そのタイミングでの義希のパスは絶妙であり、イバルボがPKを獲得することとなりました。PKの際のカードが出なかった件に関してはこちらでちょっと書いております。

余談ですが、右サイドのアンヨンウが上がっている事に対して、吉田監督がベンチから指差してフリーの選手が生まれてることに対するケアの指示が出た気がするのですよね。映像を見ると、アンヨンウの方を指さしている気がします。もし、吉田監督がアンヨンウをケアするように示したのとするならば、まさにミスリード。それによって、ゴール前にイバルボが突進する隙を与えてしまったことになります。





さて、そうやってアンヨンウのポジショニングによってゲインもロストも発生してしまったのですが、何とか試合を振り出しに戻したサガン鳥栖は、ここでアンヨンウのポジションを変更します。システムを4-4-2にして、中盤の逆サイドに相手のサイドバックが利用できる大きなスペースを作ることをケアする形になりました。得点の奪い合いになることは鳥栖のやり方ではないと判断したのでしょう。これによって、中盤にふたをする形になり、互いに窮屈な中をこじ開ける展開にシフトしていきました。

ここで力を発揮するのがセットプレイでありまして、吉田のオーバーラップで奪ったコーナーキックから、キムミンヒョクが鮮やかなゴールを決めて鳥栖が勝ち越し。この形は、ヴィッセルのブロックの外から決める形を練習していたということで、攻撃の仕込みがうまくいくのは、選手たちも気持ちいいだろうなと。





後半に入ると、54分に青木を投入して、5-3-2のシステムに変更します。神戸はサイドバックのオーバーラップからの攻撃を多用するので、小林、吉田が釣り出された後にセンターバックが釣り出されて中央が薄くなるのをケアしたものだと思われます。

この状態でも、まだ鳥栖は攻撃と守備の比重は3対7くらいだったかなと考えられるのは、フォワードを2人の残してカウンターでのチャンスを狙っていました。イバルボと田川の突進であわよくばというシーンは作れましたが、長い距離を走ったあとのプレイ精度を欠いて、なかなか追加点を奪えず。

そうすると、神戸も鳥栖のシステムによって作り出されるスペースを利用するようになりまして、5-3-2で発生するセントラルハーフの脇のスペースを上手に使いだすようになります。神戸は、ビルドアップで高橋を下げて鳥栖の2トップに対して3人でボール回しをするという人数で回避を行っていたので、そこから中盤のスペースへの繋ぎで徐々に鳥栖陣地での攻撃の時間を増やしてきていました。



追加点を取るというミッションが達成できなかったため、マッシモがここで切り替えてはっきりと守備を意識したシステムに変更します。67分に水野を入れて、水野は右サイドのアウトサイドに配置しました。これによって、5-4-1となり、神戸のビルドアップに対して、中央だけに入れさせない形でイバルボが対峙。あとは9人でブロックを組んで、スペースを空けないよう、ボール保持者を自由にしないよう、統率された動きで神戸からの攻撃を耐える形へとシフトしました。改めて言う事もないのでしょうが、イバルボの1トップは、ボールキープで時間を稼いでくれる貴重な存在です。最後、神戸がハーフナーマイクを投入して猛攻を見せますが、権田のファインセーブもあり、そのままゲームセット。貴重な勝ち点3を奪いました。



最後に一言だけ。今節も田川は攻守に大車輪の活躍を見せてくれました。ボールを持った時にアグレッシブに勝負を挑む姿勢(勝負を挑めるスキルを保有している)も非常に素晴らしいものがあります。しかしながら、若さゆえ、神戸の老獪な選手たちが誘導しているにも関わらず、勝負を挑んで相手の術中にはまったプレイも見えました。これから様々なシーンを経験し、自らで勝負を挑む選択と、味方を生かして自分を生かすプレイの選択の適切な判断力が身に付くと、更にひとつ上のステップに上がれるプレイヤーだと思います。当然、積極的に勝負を挑むメンタルとスキルは大事な要素なので、決して消極的にはならず、様々な事を経験して成長して欲しいと思います。

<画像引用元:DAZN>
  

Posted by オオタニ at 18:49Match Impression (2017)