サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

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Posted by さがファンブログ事務局 at

2018年07月24日

2018 第17節 : サガン鳥栖 VS ベガルタ仙台(前編)

仙台戦のレビュー(前編)です。今回は、失点シーンをピックアップしたレビューです。試合全体におけるシステムや流れについては、後編で記載します。

失点シーンに関しては、藤田に代わって安在が入った交替が伏線でした。ポジションとしては、右サイドバックに福田が下りて最終ラインに入ります。中盤は右から義希、原川、高橋秀、安在とフラットな4枚での構成とし、セントラルハーフの4人で攻撃・守備の分担をする配置へと変わりました。この時点で高橋秀はアンカーという役割から解放されています。また義希を中央ではなくサイドに配置することによってカウンターでの機動力(前線への飛び出し)を重視しました。原川はディフェンスラインからボールを受け取り中央からボールを散らす役へと変わります。

選手交代と配置が、リスクをかけてでも得点を取りに行くというベンチからのメッセージですので、中盤の選手はいやがおうにも前へ前へとポジションを取ることになります。スタジアムの熱気も高まり、押せ押せムードで攻撃に対する意欲が高くなるので、リスクマネジメントという意識が段々と薄らいでいきます。ちょうどこの頃、解説の小林さんが、鳥栖は押せ押せだけど、センターバックだけ残してボランチがいないから、リスク管理をしておかないと最後にやられる可能性があるという解説をされていらっしゃいました。まさにその通りになってしまったというわけです。

失点シーンを振り返りましょう。ディフェンスラインからのクリアボールを小野が競り勝ち、トーレスにボールが収まります。この時点で、右サイドハーフの義希と左ボランチの高橋秀が前線へと飛び出します。トーレスは高橋秀の動きを見て、彼の前方のスペースへパスを送り出しますが、ここでハプニングが発生します。先ほどの競り合いから立ち上がった小野が、トーレスの出したパスにヒールで触れてしまい、ボールの勢いが弱まってしまいました。これによって高橋秀の所までボールが届かず、仙台の平岡のスライディングによってボールを奪われてそのボールが蜂須賀に収まります。ここから、鳥栖の選手たちの対応に関して、3つの問題が発生してしまいます。

1.高橋秀のプレス
蜂須賀にボールが収まったシーンで、安在と高橋秀の2人がプレスに入っています。プレスそのものに関しては、高い位置で奪う事ができたら再びカウンター攻撃に行けるのでそのような判断もあるかとは思います。しかしながら、中盤のスペースを空けて飛び出している状態で2人がプレスに行くというのは大きなリスクであり、プレスに行ったならば必ず奪いきるか相手にバックパスの選択をさせなければなりません。残念ながらボールを奪う事が出来ずに仙台が前進するきっかけを作ってしまう事となりました。

ここでは、蜂須賀の方に向かうのではなく自らの本来のポジションへリトリートするだけでも石原へのパスコースは遮断されますし、蜂須賀も高橋秀が視界に入るので石原へのパスという選択肢が消えていた可能性も高いです。自らのポジションに戻りきれずとも、リトリートする動きだけで次の仙台の攻撃アクションを阻止できたのではないかというのが見解です。

2.原川の守備強度
次に、原川の守備対応です。ここに関しては、左サイドボランチの高橋秀の動きに依る所もありますので指摘するのは少し酷かなという場面ではありますが、彼の対応次第では防げた可能性があるという事で記載させてもらいます。トーレスのボールが平岡にカットされ、蜂須賀に収まる状況下において、原川はポジショニングをスライドできずボールウォッチャーになっています。ここでバイタル前が空いているという危険を察知し、更に仙台のセカンドトップがそのスペースにポジショニングしているという状況を把握できたならば、ポジショニングを少しでもボールサイドに取る事によって、石原に対してのプレスが間に合った可能性があります。ただし、彼の守備強度がそもそも強くないという根底がありまして、その役割は義希や福田(あえて言うならば加藤)が得意とするプレイであります。義希と原川の配置が逆であったならば守備強度が保てていたのではないかという想像は難くありません。

3.福田の対応
先に書きますが、オフサイドではなかったであろうというのが当Blogの見解です。オフサイド検証に関しては後程。

オフサイドを取れなかった原因としては、福田がラインを合わせられずに残っていた事だと想定されます。さらに、福田は背後から迫ってきている西村を認知しているにも関わらず、ジャーメインからのクロス対応が出来ませんでした。現代のサイドバックは、スペース圧縮という考え方の下での動きになりますので、ポジショニングのスライドによって時折センターバックとしての役割をこなさなければなりません。守備強度という観点から行きますと、センターバックの選手がサイドバックをこなすことはできても、セントラルハーフの選手がこなすというのはなかなか難しいものがあります。

実は、この失点シーンの前にもカウンターによって西村にあわやというシーンを作られてしまっていました。両サイドバックが高い位置を取るという事は、カウンターに対するリスクが高まるということになりますので、福田のサイドバックとしてのポジショニングに対してマッシモからどのように指示がでていたのかというのは気になる所です。

ちなみに、福田に関しては第2節のV・ファーレン長崎戦でもサイドバックに入っていますが、この節でも福田の対応に問題があり、急造サイドバックの難しさをレビュー内で指摘しています。福田がサイドバックに入ることによる「攻撃への貢献」と「守備強度の低下」を秤にかけると、彼のサイドバックというのは、そこまでメリットはないのではないかと考えます。

参考 ⇒ <第2節:対V・ファーレン戦のレビュー>









■ オフサイド検証
今回のオフサイドの検証としては、遠近法における「消失点」という考え方を用いています。(画面上で平行でないように見えても)本来平行であるものは、それらの平行な線を延長すると、奥行き方向に向かって最終的に交わる点が存在します。それを消失点といい平行な線を引く際の基準点として利用できるので、消失点からオフサイドの基準となるディフェンスの選手に向かって直線を引くと、オフサイドラインを求める事ができるという理論です。(下記のサイトを参考にしています。)

<参考サイト> オフサイドラインの引き方(とりあえず)

今回は、簡易的に二次元の仮想オフサイドラインで検証してみました。百聞は一見に如かずという事で、画像をご覧ください。消失点の決定に用いたのが、ハーフウェーライン、ペナルティエリアのライン、ゴールラインで、消失点からディフェンスラインの中でも一番最後方にいたと思われる福田に向けて仮想のオフサイドラインを黄色で引いています。オフサイドラインは、「頭、胴体、足の一部でも」「手および腕は含まれない」というルールですので、いろいろと線を引いた結果、一番ゴールに近かった福田の頭に向かって仮想のオフサイドラインを引いています。



この検証図で見ると、福田が残っていることによってオフサイドが取れなかったように見えます。無論、簡易検証であるので事実と断定はできませんが、完全にオフサイドだったと言い切れるような場面でもないという事が分かります。福田の位置が見えていなかった高橋祐やミンヒョクはやむを得ないとして、せめてすべての選手が見えていた福田だけでも足を止めずにプレイできていればというのはありますね。

このように、様々な問題点が重なって発生してしまった失点なのですが、今回は、選手たちの責任よりもこの配置で終盤戦に挑んだマッシモの判断に問題があったのではないかというのが当ブログの見解です。無論、勝ち点3を得るためにリスクを冒してでも得点を取りに行くというチャレンジは必要ですし、ここで得点が獲れていればこのチャレンジ成功ということになります。しかしながら、結果としてカウンターからの失点を喫して敗北となってしまいました。

失点はプレーの結果でありそこだけを責めるのは単なる結果論であるのですが、リスクのかけ方としてこの選手起用が適切だったのか、この選手配置が適切であったのかというのは、今後分析しなければならない部分だと思います。そういう意味で、今回の失点の一連の流れを考えると、今回はマッシモの選手配置に問題があって招いた失点ではないかと感じています。

ここで、ベガルタ仙台戦レビューの前編は終了です。後編は、システムの違いによる互いの攻撃方法やトーレスのプレイについて記載したいと思います。
  

Posted by オオタニ at 19:24Match Impression (2018)