サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2017年05月02日

2017 第9節 : 鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

鹿島戦を簡単に振り返ります。
マッシモさんのコメント、豊田のコメントを見る所に、アウェーということで、中盤でしっかりとした守備ができる小野を先発にしてから臨んだというところでしょうか。守備時の雰囲気的には4-5-1(4-3-2-1)で、前線から激しく最終ラインをチェイスするのではなく、フォワードのどちらかの一人が(神戸戦の後半程ではありませんが)中盤のサポートをするという形だったのですが、先制点もつかの間、鳥栖のミス(あえてミスと言いますが)によって、鹿島の逆転を許し、ビハインドを追う展開となってしまいました。

プランとして前半は堅くということで入りましたが、後半に入るとビハインドの状況なのでどこかのタイミングで攻め始めなければなりません。攻撃のスイッチとしては、そうですね、鎌田に代わってチョドンゴンが入った当たりでしょうか。前線へのボールの配球でひとつ彼がポイントを作ることになるのですが、それでもシュートチャンスを多く迎えるような展開にはならずという所で、更なる攻勢をしかけるために79分にイバルボを投入します。

しかしながら、今回はイバルボの投入が裏目となってしまった感が強く、フォワードが左右に大きく張り出したのは良いのですが、そこまでボールを運ぶことに苦労してしまい、かといってストロングポイントを生かすべくロングボールでしかけるようなアタックもなく、とにかく、試合全体を通じてなかなか攻撃の形が作れず、終わってみればPK1本与えてもらった割に、そしてビハインドの時間が45分以上もあった割には、シュートが6本とはやや寂しい限りの試合でした。

鹿島は、コンパクトな守備陣形なのですが、豊田に植田がしっかりとマーキングしていたように、自分がマークするべき選手に対する意識が強いので、相手選手に引っ張られるシーンも多々あります。前半にそこをうまく活用できたシーンがありましたので、紹介します。

ボールは、キーパーの権田のスローから始まります。ディフェンスラインでボールを回して、左サイドの吉田からミンヒョクにボールが入った時に、うまい具合に小川がアンカーの位置で顔を出します。全体の連動はここからスタートして、ミンヒョク⇒小川⇒小野⇒ミンヒョク⇒鎌田へと、それぞれが味方の空けたスペースを利用するべく上下に顔を出しており、連動した素晴らしいつなぎでした。

2017 第9節 :  鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

2017 第9節 :  鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

2017 第9節 :  鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

2017 第9節 :  鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

実は、この攻撃の良い所は、組み立てに豊田が参加していないことだと考えます。ミンヒョクのパスが良い状態で鎌田に繋がったとしたら、豊田はゴール前にフィニッシャーの役割として顔を出せることになります。私的には、これが一番大事なことだと思うのです。

チームとして、シュートを放つ行為に至るまでの組み立て(青写真)をどう描いているか、また、その青写真がいかに選手間で共有されているかというのは非常に大事なことです。その共通意識がないと、個人個人が攻撃に寄与しようとする動きが単発(悪い言い方をするとムダ)になってしまって、組織として崩すことができません。

例えばチームとして誰をフィニッシャー役とするのか、フィニッシャーが得点の可能性を秘めるシュートを放つためには誰がどのようなラストパスを送るのがベストなのか、そのラストパスを送るシーンを作るために誰を経由してどのような崩しのプロセスを踏めばよいのか、そのためにどの位置でボールを奪って攻撃に転じたいのか。この試合は時間が進むにつれて(選手交代を行うにつれて)共通のイメージを選手たちが段々と持てなくなっていったように目に映りました。

ちなみに、下に示しますが、試合終了も近づいてきた時間帯にこのシーンを見た時に、鹿島によほどのミスがない限り、負けゲームであるということを覚悟しました。ボールの動きに対して、また、原川の動きに対して、回りが何かアクションを取って攻撃を活性化しようとする動きがほとんど発生しておらず、ビハインドの場面で残り時間をどのように有意義につかうかという意図が感じられなかったからです。

2017 第9節 :  鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

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2017 第9節 :  鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖

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鹿島の守備が良かったとはいえ、テレビで見ている限りでも、3人のトップの選手をどのような役割でどのように使いたいのか、ゴールへのプロセス(青写真)を感じ取ることができず、非常にフラストレーションのたまる試合でした。

サッカーの1点は非常に重いものでありまして、その重い1点を取るためには、いろいろと策をめぐらせなければなりません。その策を講じたとしても必ず得点が取れるわけではありませんが、チームとしていろいろな策を講じて共通意識を持って戦う事が「面白いサッカー」ひいては「勝てるサッカー」に繋がると思います。今回は残念な結果でしたが、また、トレーニングして次節はよい試合を見せて欲しいと思います。

<画像引用元:DAZN>


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Posted by オオタニ at 17:59 │Match Impression (2017)