サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2017年08月03日

2017 第19節 : サンフレッチェ広島 VS サガン鳥栖

中断期間を終え、後半戦の開幕となる広島との戦い。両チームともに内容よりも結果が大事という状態でしたが、今期アウェー初勝利、エディオンスタジアム初勝利というおまけまでついて、サガン鳥栖が貴重な勝ち点3を手に入れることができました。下位に低迷するチームから勝ち点3をしっかりと奪う事は、今後の展開を見据えても非常に大きな勝利だったのですが、果たしてその内容はどうだったのでしょうか。今回は簡単に振り返ります。

鳥栖は4-3-3でのセットアップ。鎌田がいなくなってからは、4-3-3での立ち上がりが多いのですが、今回の前線の3人は大型トリオとなる豊田、イバルボ、田川。最終ラインは小林ではなくて藤田を起用してきました。

広島は、監督交代とともにシステムを変えて4バック、1トップでのセットアップ。中盤は流動的だったのですが、主な形で言うと攻撃時には4-2-3-1、守備時には4-4-1-1のような形でした。

試合は前半から、お互いのストロングポイント(広島にとってはストロングになるであろうと考えられた)ロングボールの応酬によって幕を開けます。確かに、豊田がロングボールに競り勝つ回数は、水本、千葉よりも高かったですし、パトリックの動きに合わせた広島のロングボールの質も高く、あとはセカンドボールをどちらが拾うかというところで攻撃の機会を伺う状態でした。

ロングボールが多くなるという事は、必然的にそのボールの狙い目の周りに選手を配置しなければならないということで、今回の鳥栖は、田川、イバルボをウイング的に利用するのではなく、双方ともにセカンドトップ気味なポジショニングを取っていました。ロングボールのセカンドボールを拾う役目でもありますし、最終ラインからの組み立てからのボールを引き出す役目も果たそうとしていました。

ただ、そうなると、豊田、イバルボ、田川が中央にポジショニングを取ることが多く、これまで相手のサイドバックの裏をついていた攻撃が影を潜めることになり、センターバックを起点として「鎌田+サイドハーフ+サイドバック」で崩していたエリアが、サイドチェンジからの「サイドハーフ+サイドバック」の2人で崩すというパターンになってしまっていました。

特に、この試合では、サイドで1VS1を作り出してからの個人突破にかける部分が大きくなり、藤田に関しては、縦に突破してクロスを上げるというスキルはストロングポイントでなく、また、吉田も対峙したのが丹羽というディフェンスに長けた選手であるため、せっかく中央に豊田、イバルボ、田川と待ち構えていても、なかなか深い所からのクロスと言うチャンスを作ることができませんでした。

守備で気になったのは、当然夏の暑い中での試合ですから、涼しい時の試合のように前からガンガンプレスをかけて奪い取るという形はとれず、リトリートして(いわゆるゾーン2の辺り)でブロックを作るシーンが多く見られました。今回は、3トップでしたので、そのまま前線で3人がブロックを組んで中央を固めるようなセットアップでしたが、どちらかのサイドに追い込もうという動きも少なく、あるエリアだけのパスは通させないという動きも少なく、ただあるがままに中央のスペースを埋めるという形の守備になっていました。

特に、前半の給水タイム以降は広島がロングボールの回数を減らして、トップ下をうまく活用したり、(サイドへの圧力がないために)簡単にサイドに展開出来たりということで、劣勢に立たされました。中盤と最終ラインのブロックにより、致命的なスペースを与えることはなかったのですが、せっかく前線に3人もの人数を使っていながらも、彼らに要求するタスクが少なかったため、守備として活用できずにあまりにも簡単にゴール前に迫られていたのは、反省材料です。

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

途中から、田川が1列下がって中盤を4人で埋めるようにしましたが、あまり機能していないと判断したのか、チョンスンヒョンを入れて3バックにしました。広島は、ここは効いていたなと思ったのですが、鳥栖が3バックにした際に、茶島と柏を深い位置にポジショニングを取らせて、鳥栖のウイングバックを押し込もうという動きを取りました。これで、広島が3人の選手で鳥栖を5人ゴール前に押し込む動きができ、あとは柴崎が引いてきて数的優位を中盤で保ちつつ青山が展開して丹羽・高橋を押し上げるという形も取れましたし、押し込んでいる状態から茶島・柏が引いてきて空けたスペースを柴崎が狙うという動きも取れましたし、押し引きのイニシアチブを広島が握ることに完全に成功していました。パトリック、柴崎、茶島、柏は相性が良いですね。それぞれのサッカーセンスなのでしょうが、お互いがお互いのスペースをつぶし合うことなく、カットインや裏抜け、そして柴崎の引く動きへの対応を急造とは思えないような連動を見せていました。

鳥栖としては、3バックにしてからも、重心が後ろになってしまったのもありまして、自分たちから主体的に追い込むという形を作りづらくなり、広島からラストパスを送り込まれる回数の減少にはつながりませんでした。選手はインタビューでシステムが変わっても守備のベースは変わらないと言いますが、逆に、システムが変わったら守備のベースを変えなければならないのではないかと感じます。選手の配置によって、防ぎたいエリアを変えるわけですから、自分たちがどのようにイニシアチブを握るかと言う所を、意識を合せて試合中に変えていくことが必要ですよね。例えば、このシーンでも、豊田がボールを奪うためのスイッチを入れてからプレスに行ったものの、それが端を発して前と後ろのバランスが崩れて簡単に縦パスが通ってチャンスを作られてしまっています。フォワードひとりの動きでも、守備としては重要な戦術的要素なので、しっかりと意識合わせしてほしいですね。

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

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さて、チョドンゴンのゴールはスーパーゴールでしたが、攻撃の起点は大事だなと改めて感じたシーンでした。たまたまセンターサークル付近でのプレイでしたが、豊田が体を張ってボールをキープして、チョドンゴンが前を向いてシュートを打てる体制でボールを受けるというシーンとして捉えると、こういう形が少しでも相手陣地の近くで作れることができれば、それは一つのチームとしての形ですよね。このようなプレイがペナルティエリア付近で(もしくはペナルティエリア内で)作れるようにしたいところです。

チョドンゴンのゴール以外には効果的なチャンスも多く作れなかったですし、鎌田が不在になって、また、小野が怪我で離脱したことにより、攻め方のベースを模索しなければならなくなったのは確かです。単発で見ると選手たちはいい動きを見せています。スペースを作るフリーランニングもできています。あとは、ここをチームとしてどう活用するか、どう連動するかというところを、トレーニングの中で鍛え上げていくしかないですね。

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

2017 第19節 :  サンフレッチェ広島 VS  サガン鳥栖

セットプレイに至っても、ヒヤリとする場面があり、両チームの監督が試合後のコメントで「運」という言葉を使っていましたが、このような状態でも勝利できたのは、サガン鳥栖の方が運を持っていたのかなという感じです。最終的には選手たちの頑張りで勝ち点3を奪う事はできましたが、サッカーの質と言う意味では、広島の方が収穫あったのかなという所ですね。

最後になりましたが、チョンスンヒョンは良い選手ですね。対人も強く、アジリティも問題なく、サイドチェンジも正確なボールを蹴ることができるので、センターバックとして十分活躍してくれそうな感じです。今後の活躍に期待します。

<画像引用元:DAZN>


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Posted by オオタニ at 20:00 │Match Impression (2017)