サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2018年04月12日

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018年第6節は、アウェーでセレッソ大阪との対決。ユンさんがサガン鳥栖の監督であったことも遥か遠い昔の事のようなのですが、呪縛とでも申しますか、なぜかセレッソに勝てないサガン鳥栖。残念ながら今回もユンさんが率いるチームに勝てないという状況が継続してしまいました。

今回はアウェー戦なので簡単に振り返ります。
鳥栖のセットアップは4-3-2-1。イバルボをトップにおき、セカンドトップに小野と田川を置いて、セントラルハーフから後ろはいつもの布陣。怪我なのか詳細はわかりませんがスンヒョンに代わって高橋祐がセンターバックの位置に入りました。

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

この4-3-2-1というセットアップの目論見は、山口とオスマルからのボール配球のところにプレスをかけ高い位置でカットしてショートカウンターで攻撃を仕掛けるというものでした。センターバックへのプレスはイバルボ一人で見る形で、センターバック間のボールの疎通に対しては頑張って二度追いをしてもらいます。
センターバックから狙い目であるボランチの所にボールが入ったところで田川、小野がボールを奪えれば当然理想なのですが、そこからサイドに流された場合は、インサイドハーフとサイドバックが高い位置で相手のサイドの選手にプレッシャーをかけます。サイドのプレッシャーから逃れるため、再びボランチの山口、オスマルへボールを戻すその位置が鳥栖の奪いどころで、小野、田川が果敢にチャレンジしておりました。

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

序盤は、その形が非常にうまく行っておりまして、柿谷や杉本が良い形で前を向けるボールの配球を許さず、中盤のプレスだけで攻撃を未遂として終わらせることができていました。ただし、鳥栖の攻撃に対してもセレッソのボールサイドへの寄せも早く、双方ともにビルドアップでボールを繋いで攻めるというよりは、中盤でのプレッシャーによってボールロストが生じ、頻繁にトランジションが発生していました。ボールを持ったら素早く縦にというお互いが陣形の整わないうちでの攻撃が多く、さながらショートカウンター合戦のような様相でした。

前半7分の田川のビッグチャンスは狙い通りの展開でした。お互いに落ち着かずにルーズボールのような展開の中、小野が一発でディフェンスラインの裏へボールを送り込んで田川がゴールキーパーと1対1のチャンスを迎えます。残念ながらこれが決まらなかったですね。このショットミスは試合展開を大きく左右しました。

4-3-2-1の陣形がうまくはまり、序盤の流れを掴んだサガン鳥栖。特にこの試合は小野と福田のコンビネーションが素晴らしく、互いにダイアゴナルに移動することによるマークを外す動きとして連係がとれていました。サイドバックの裏に走り込んで起点を作る小野と、そのスペースに飛び込んでセカンドトップの役割を果たす福田という構図ができあがっていました。ただ、左サイドの田川と原川の関係が思いのほか機能せず、裏に抜けたい田川と細かくつなぎたい原川と言う思惑だったのか、左サイドからは大きなチャンスをつくれずという前半でした。

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖

2018 第6節 : セレッソ大阪 VS サガン鳥栖


先制点はセレッソだったのですが、得点を奪う前くらいからセレッソも攻撃のパターンを変えてきます。ボランチが狙われていることが分かったため、柿谷がボランチ周りのサポートに入って中央の繋ぎを担います。また、ボランチを経由せずに一気にサイドチェンジで逆サイドへの展開をつくることによって小野と田川の中央の守備を無効化します。執拗なサイドチェンジでインサイドハーフ3人での左右のスライドが徐々につらくなってきた鳥栖は、失点を喫して攻勢に出なければならないという事もあり、前半の終了間際くらいからシステムを4-4-2に変化し、ボランチの位置からのボール奪取をあきらめ、ミラーゲームへと持ち込むことを決意しました。

後半に入ると、システムを4-4-2に変えた効果によって、サイドに人を寄せることができたため、前半は機能しなかった左サイドが活性化します。吉田を高い位置に押しやり、原川がボランチの位置からゲームを組み立てて福田がハーフスペースからの飛び出しを見せるという形でセレッソのサイドを攻略しました。後半の最初のチャンスで得点が取れなかったのも痛かったですね。高橋秀、小野、どちらかが決まっていればまた試合展開は変わっていました。その後、コーナーキックから不運な形で2失点目を喫してしまったので尚更ですね。

試合終盤になるにつれて攻勢をかける鳥栖は、原川のクロスからチョドンゴンが決めて1点差。しかしながら、あと1点届かずにホイッスルが鳴ってしまいました。

試合の終盤で気になったのは、田川の使い方です。田川にボールを集めて、裏への突破やドリブルによるカットインを狙わせていたのでしょうが、あまりにもセレッソ守備陣が多く存在するところで勝負をさせるケースが多かったです。田川は個人で打開できる能力があるので、だからこそ、彼にどういう形でボールを預けるのか(裏抜け?サイドでの1対1?ポストプレイ?)、彼に最終的に何をさせたいのか(シュート?クロス?デコイ?)そのあたりをチーム全体がもうすこし工夫出来ればよかったのですけどね。彼がボールを受けても、待ちわびたようにセレッソ守備陣の2人、3人と相手しなければならない状況だったので、ちょっと酷でした。期待値も大きいですしそれに答える事の出来るスケールも持っているので、単調なロングボールを競らせるのではなく、その裏を狙ったり、サイドで1対1で勝負させたりと、彼の能力をいかんなく発揮できる状況を作ってあげたいですね。

今シーズンも勝ったり負けたりの状況で、なかなか勝ち点が伸びていかないのですが、どこかで突き抜けて連勝するような好調期が訪れてほしいですね。

<画像引用元:DAZN>




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Posted by オオタニ at 12:50 │Match Impression (2018)