2018年10月03日
2018 第28節 : コンサドーレ札幌 VS サガン鳥栖
2018年第28節、コンサドーレ札幌戦のレビューです。
鳥栖のセットアップは攻撃時に4-4-2、守備時に5-3-2をベースとした戦い。ミドルサードでは、前にプレスをかけられるタイミングで安在が出ていきます。プレッシングがはがされてディフェンシブサードに入られると安在を藤田の外側にリトリートさせて5-3-2ブロックという形です。
最終ラインを5名でセットアップしているので、1人を飛び出させても後ろを守る人数が確保されるので、ジェイがトップの位置から降りて受けようとする動きに対して鳥栖はオマリや裕治がついていきます。
札幌のセットアップは3-4-2-1のような形ですが、攻撃時にはセンターバック2名が幅を取ってビルドアップの出口を作り、ボランチ2名がラインを下げてボール保持のヘルプを行います。機を見た福森のオーバーラップ(進藤も時折来ていましたね)という、3列目から飛び出してくる選手をなかなか捕まえきれずに苦労していました。
鳥栖はとにかく守備の基準点探しに苦労していました。チームオーダーは前からのプレッシングで高い位置からのショートカウンターだったかと思われますが、札幌のポジションチェンジが頻繁で、人を捕まえるのに苦労していました。
札幌3-4ビルドアップに対して、鳥栖は2-3で捕まえに行こうとしますが、根本的に数が足りていないので簡単に間のスペースをつかれて抜け口を作られてしまっていました。プレスのスイッチングをどこにおいていたのかもいまいち不明瞭で、トップが行くポイントが前であったり中央であったり。タイミングが計れないので、せっかく前から行っても中盤から後ろが遅れて捕まえにいってしまい、札幌に簡単にスペースと空いている人間を使われるケースが多く見られました。
マンマークではないので、ビルドアップ成功後に札幌センターバックがオーバーラップしても、フォワードが下がるわけではありません。前から行っても人数不足、攻め込まれても人数不足。どこに行っても札幌の選手ばかりな上に簡単にスペースを使われる。サッカーは選手のネームバリューではなく、やはり監督の戦術と選手たちの実行能力が大事だという事がよく分かる試合展開でした。
前線からのプレッシングにもっと人数をかける必要があると判断した鳥栖は、安在と吉田に管と早川をマンマーク気味に捕まえさせ、数的同数でプレスをかけようとします。そうなると、札幌は簡単にジェイに向かって蹴っ飛ばします。前からプレスをかけてビルドアップを無効化したと思っても、蹴っとばされた先に待ち構えるのはジェイ。鳥栖にとっては地獄のような展開です(笑)
前から行ったときに蹴られると、中央のスペースが大きく空いて札幌セカンドトップがセカンドボールを取得できる確率が高くなります。ジェイに向かって蹴られるボールでオフサイドを取れる程大胆なラインコントロールもできておらず、この試合ではやりかった守備は実現できなかったかと思われます。
こうして、前から行ってもはがされる、気が付けばロングボールが飛んでくる、駒井も三好も福森も菅も裏に抜けようと迫ってくる、前線、中盤、最終ラインが守備でどこにポイントをおいたらよいのかよくわからない、そうこうするうちに体力がばかりが削られていく。これらのコンボによって、鳥栖はライン間が空いてしまって札幌が攻撃するには十分なスペースを与えてしまっていました。
前線からのプレッシングが機能しなかった事に輪をかけて、攻撃と守備との可変システムそして選手起用も選手たちの混乱を生むのに十分でした。札幌は最終ライン3人ビルドアップのため、同数にあわせようとするとツートップに対してあと1人鳥栖の選手が必要となります。そこで小野がプレッシングにでるのですが、そこをかわされた後に鳥栖が後ろ5枚にしてしまうので、小野が出ていき、安在が下がりという形で中盤がスカスカの状態となります。ジェイにとっては格好のエサでありまして、そのスペースで自由奔放にボールを受ける事ができていました。また、攻撃に特化した選手である小野の起用も守備面で影響があり、スペースを埋めるとか、対人マークに強いとか、守備に特化した選手ではないので、危機察知能力は正直言って低いです。守備時にセントラルハーフの役割を与えるメンバーとして果たして小野のアサインメントが適切だったのか。マッシモの選手起用の神髄がどこにあったのかが知りたい所です。
鳥栖の可変システムは、トランジション時の過渡期対応でも苦労していました。ポジティブトランジションで安在が上がろうとするときに(5-3-2から4-4-2に変えようとするときに)ボールを奪われると、ポジショニングの混乱によって生じるスペースを札幌に与えてしまいます。特に、藤田と安在の関係が複雑(藤田:守備時ストッパー、攻撃時サイドバック、安在:守備時ウイングバック、攻撃時サイドハーフ)だったので、役割を変更しようとした矢先に札幌に奪いかえされると、自分たちではどうしようもないスペースを札幌に与えてしまっていました。これは選手個人の責任ではなく、チーム戦術によって与えてしまったスペースです。
鳥栖が、勝手に自滅してくれたおかげで、札幌はワントップ+セカンドトップが鳥栖のスペースができることを予知できるようになり、ジェイ、駒井、三好が中央のスペースで大いに躍動しておりました。また、彼らが動けるスペースを作るのに貢献したのが、センターバックのオーバーラップです。福森、進藤が飛び出していくことによって鳥栖のセントラルハーフを引き連れていく動きを見せていました。引き連れていって空いたスペースを札幌が上手につかっていました。
もちろん、時折札幌のミスは発生していました。ただし、それは鳥栖の守備によって予見できたミスではなく、偶発的に起きるミスによって得られたボールでしたのでなかなか攻撃につなげることができませんでした。ボールを奪うと同時に安在が高い位置をとりに前進し、小野が幅を取るためにサイドに広がりますが、確実に、ポジションを取るためのタイムラグが発生します。カウンターで安在がフォローに入れる位置に行くまで、いつものように金崎や小野の単騎突破に頼ることになります。
鳥栖はここ数試合を見ても、小野と金崎が交通渋滞を起こしているのがわかります。サイドで起点を作ろうとして、2人ともサイドに来てしまって、クロスを上げる時にゴール前にいないという状況が試合を重ねても何回も発生しています。
選手間のコンビネーションプレーが少なく、つぶされるケースが今回も目立ちました。トーレスはファーに逃げる動きもありますが、ボール保持している選手に近寄ってボールを受けてくれる動きを見せてくれます。しかしながら、近寄った時に使おうとするパスがほぼありません。ワンツーで抜けようとする発想もありません。トーレスに預けると、同点ゴールのきっかけとなったようなパスを送ってくれる選手です。藤田へのパスが同点ゴールを決めたと言っても過言ではありません。辛辣な言葉を書きますが、世界で有数の一流プレイヤーのトーレスがチームメイトを上手に使う効果的なパスを送るのに、世界に行っても活躍できなかった金崎や小野の単騎突破にかける攻撃が果たして本当に効果的なのでしょうか。監督の意向はそれでよいのでしょうか。攻撃に関する約束事は果たしてこのチームに存在するのだろうかと不安に思います。
札幌戦は、小野・金崎がサイドに出てきて相手の選手を引き連れてくるよりは、ウイングバックの安在、吉田が相手と1VS1の機会を作って交わしてクロスを上げるという形がチャンスになっていました。金崎、小野が動きすぎてサイドに出てくるよりは、中央で相手選手をピン止めしてくれたが、サイドの交通渋滞がなくなり、安在と吉田が1VS1で相手ウイングに挑める機会も作れます。その状況を生み出したならば安在も吉田も十分にひとりかわしてクロスを送れる選手です。この形をしつこく続ければ良かったのですが、前線が自由すぎて、形を作ることができません。チームとしてどこにポジションを取って相手をどう誘導するかという形を作らない限りは、セットプレイなどに限定された得点チャンスしか生まれないでしょう。
戦術的要素で完全に後塵を拝していたので、鳥栖は前からのプレッシングを捨てるという手を打つのも一つの選択として必要だったかもしれません。ノープレッシャーでボールを保持できるようになると、福森や進藤があがってきますので、ボールを奪って電光石火のカウンターを放つためのスペースを作ることができます。ツートップの一角は田川。起点は1人で良いので、トーレスもしくは金崎。パスセンスを考えるとトーレスの方が良いと思います。トーレスから田川へのパスがあっても、田川からトーレスへのリターンがかえってくるかはわかりませんが(笑)
先制点は、これまでの鳥栖の対応の不味さをついにつかれてしまった形でした。前線へのプレスが整理されていないので、プレッシングの相手が固まらないまま小野が中途半端に出てしまい、そしてビルドアップで抜けられても小野が中央に戻らずにスペースを空けてしまいます。ジェイがそのスペースをうまく使い、駒井と三好の効果的な飛び出しでついに失点してしまいました。権田がPKセーブしてくれましたが、フィールドプレイヤーは何度も同じ形で崩されてしまっており、権田の頑張りに報いる事ができませんでした。
勝ち越しのシーンも同様です。リスクを負って前にでていったかもしれませんが攻撃にアイデアがないので、やみくもにボールを蹴ってボールロストしてしまいます。選手たちが戻って来れない中、札幌は鳥栖が与えるスペースを効果的に利用して、体力的に万全の都倉と疲労困憊の祐治の1VS1のシーンを作られてしまいました。選手交替の使い方も、ミシャとマッシモとの格の違いを見せつけられたかのようでした。
札幌の攻撃は、将棋でいう所の数手先までは簡単に読んでいました。人を動かせば鳥栖の守備がこうなるという事を理解したかのようにスペースにダイレクトにボールが入っていきます。鳥栖はまったく相手の動きが読めていませんでした。チーム完成度の差、順位の差、まざまざと見せつけられました。
鳥栖の攻撃には、柏の瀬川、札幌の駒井、三好のように気の利いた、チームの為に「戦術的に」「有効な」プレイをする選手が見当たりません。選手個々は頑張っているのですが、その頑張りがチグハグで報われないのが気の毒でしょうがありません。選手個々の質は高いので、なんとか残り試合で少しでも改善することを願います。残留の為には、下位チーム同士の試合で質の勝負に持ち込むしかないですね。
最後に。この試合は、終始札幌の戦術的戦いに押されっぱなしで、同点になった時点でどういったクロージングをするべきかを考えると、同点での勝ち点1でもOKという考えを持つべきではなかったかと考えます。それは確率の問題であって、試合の展開的に、鳥栖が勝ち越しゴールを奪うよりは、札幌が勝ち越しゴールを奪う確率が高かったからです。そのリスクを冒してでも冒険する価値があったかどうかは単なる結果論と言ってしまえばそれまでなのですが、失った勝ち点1が重くのしかからない事を願うのみです。
<画像引用元:DAZN>
鳥栖のセットアップは攻撃時に4-4-2、守備時に5-3-2をベースとした戦い。ミドルサードでは、前にプレスをかけられるタイミングで安在が出ていきます。プレッシングがはがされてディフェンシブサードに入られると安在を藤田の外側にリトリートさせて5-3-2ブロックという形です。
最終ラインを5名でセットアップしているので、1人を飛び出させても後ろを守る人数が確保されるので、ジェイがトップの位置から降りて受けようとする動きに対して鳥栖はオマリや裕治がついていきます。
札幌のセットアップは3-4-2-1のような形ですが、攻撃時にはセンターバック2名が幅を取ってビルドアップの出口を作り、ボランチ2名がラインを下げてボール保持のヘルプを行います。機を見た福森のオーバーラップ(進藤も時折来ていましたね)という、3列目から飛び出してくる選手をなかなか捕まえきれずに苦労していました。
鳥栖はとにかく守備の基準点探しに苦労していました。チームオーダーは前からのプレッシングで高い位置からのショートカウンターだったかと思われますが、札幌のポジションチェンジが頻繁で、人を捕まえるのに苦労していました。
札幌3-4ビルドアップに対して、鳥栖は2-3で捕まえに行こうとしますが、根本的に数が足りていないので簡単に間のスペースをつかれて抜け口を作られてしまっていました。プレスのスイッチングをどこにおいていたのかもいまいち不明瞭で、トップが行くポイントが前であったり中央であったり。タイミングが計れないので、せっかく前から行っても中盤から後ろが遅れて捕まえにいってしまい、札幌に簡単にスペースと空いている人間を使われるケースが多く見られました。
マンマークではないので、ビルドアップ成功後に札幌センターバックがオーバーラップしても、フォワードが下がるわけではありません。前から行っても人数不足、攻め込まれても人数不足。どこに行っても札幌の選手ばかりな上に簡単にスペースを使われる。サッカーは選手のネームバリューではなく、やはり監督の戦術と選手たちの実行能力が大事だという事がよく分かる試合展開でした。
前線からのプレッシングにもっと人数をかける必要があると判断した鳥栖は、安在と吉田に管と早川をマンマーク気味に捕まえさせ、数的同数でプレスをかけようとします。そうなると、札幌は簡単にジェイに向かって蹴っ飛ばします。前からプレスをかけてビルドアップを無効化したと思っても、蹴っとばされた先に待ち構えるのはジェイ。鳥栖にとっては地獄のような展開です(笑)
前から行ったときに蹴られると、中央のスペースが大きく空いて札幌セカンドトップがセカンドボールを取得できる確率が高くなります。ジェイに向かって蹴られるボールでオフサイドを取れる程大胆なラインコントロールもできておらず、この試合ではやりかった守備は実現できなかったかと思われます。
こうして、前から行ってもはがされる、気が付けばロングボールが飛んでくる、駒井も三好も福森も菅も裏に抜けようと迫ってくる、前線、中盤、最終ラインが守備でどこにポイントをおいたらよいのかよくわからない、そうこうするうちに体力がばかりが削られていく。これらのコンボによって、鳥栖はライン間が空いてしまって札幌が攻撃するには十分なスペースを与えてしまっていました。
前線からのプレッシングが機能しなかった事に輪をかけて、攻撃と守備との可変システムそして選手起用も選手たちの混乱を生むのに十分でした。札幌は最終ライン3人ビルドアップのため、同数にあわせようとするとツートップに対してあと1人鳥栖の選手が必要となります。そこで小野がプレッシングにでるのですが、そこをかわされた後に鳥栖が後ろ5枚にしてしまうので、小野が出ていき、安在が下がりという形で中盤がスカスカの状態となります。ジェイにとっては格好のエサでありまして、そのスペースで自由奔放にボールを受ける事ができていました。また、攻撃に特化した選手である小野の起用も守備面で影響があり、スペースを埋めるとか、対人マークに強いとか、守備に特化した選手ではないので、危機察知能力は正直言って低いです。守備時にセントラルハーフの役割を与えるメンバーとして果たして小野のアサインメントが適切だったのか。マッシモの選手起用の神髄がどこにあったのかが知りたい所です。
鳥栖の可変システムは、トランジション時の過渡期対応でも苦労していました。ポジティブトランジションで安在が上がろうとするときに(5-3-2から4-4-2に変えようとするときに)ボールを奪われると、ポジショニングの混乱によって生じるスペースを札幌に与えてしまいます。特に、藤田と安在の関係が複雑(藤田:守備時ストッパー、攻撃時サイドバック、安在:守備時ウイングバック、攻撃時サイドハーフ)だったので、役割を変更しようとした矢先に札幌に奪いかえされると、自分たちではどうしようもないスペースを札幌に与えてしまっていました。これは選手個人の責任ではなく、チーム戦術によって与えてしまったスペースです。
鳥栖が、勝手に自滅してくれたおかげで、札幌はワントップ+セカンドトップが鳥栖のスペースができることを予知できるようになり、ジェイ、駒井、三好が中央のスペースで大いに躍動しておりました。また、彼らが動けるスペースを作るのに貢献したのが、センターバックのオーバーラップです。福森、進藤が飛び出していくことによって鳥栖のセントラルハーフを引き連れていく動きを見せていました。引き連れていって空いたスペースを札幌が上手につかっていました。
もちろん、時折札幌のミスは発生していました。ただし、それは鳥栖の守備によって予見できたミスではなく、偶発的に起きるミスによって得られたボールでしたのでなかなか攻撃につなげることができませんでした。ボールを奪うと同時に安在が高い位置をとりに前進し、小野が幅を取るためにサイドに広がりますが、確実に、ポジションを取るためのタイムラグが発生します。カウンターで安在がフォローに入れる位置に行くまで、いつものように金崎や小野の単騎突破に頼ることになります。
鳥栖はここ数試合を見ても、小野と金崎が交通渋滞を起こしているのがわかります。サイドで起点を作ろうとして、2人ともサイドに来てしまって、クロスを上げる時にゴール前にいないという状況が試合を重ねても何回も発生しています。
選手間のコンビネーションプレーが少なく、つぶされるケースが今回も目立ちました。トーレスはファーに逃げる動きもありますが、ボール保持している選手に近寄ってボールを受けてくれる動きを見せてくれます。しかしながら、近寄った時に使おうとするパスがほぼありません。ワンツーで抜けようとする発想もありません。トーレスに預けると、同点ゴールのきっかけとなったようなパスを送ってくれる選手です。藤田へのパスが同点ゴールを決めたと言っても過言ではありません。辛辣な言葉を書きますが、世界で有数の一流プレイヤーのトーレスがチームメイトを上手に使う効果的なパスを送るのに、世界に行っても活躍できなかった金崎や小野の単騎突破にかける攻撃が果たして本当に効果的なのでしょうか。監督の意向はそれでよいのでしょうか。攻撃に関する約束事は果たしてこのチームに存在するのだろうかと不安に思います。
札幌戦は、小野・金崎がサイドに出てきて相手の選手を引き連れてくるよりは、ウイングバックの安在、吉田が相手と1VS1の機会を作って交わしてクロスを上げるという形がチャンスになっていました。金崎、小野が動きすぎてサイドに出てくるよりは、中央で相手選手をピン止めしてくれたが、サイドの交通渋滞がなくなり、安在と吉田が1VS1で相手ウイングに挑める機会も作れます。その状況を生み出したならば安在も吉田も十分にひとりかわしてクロスを送れる選手です。この形をしつこく続ければ良かったのですが、前線が自由すぎて、形を作ることができません。チームとしてどこにポジションを取って相手をどう誘導するかという形を作らない限りは、セットプレイなどに限定された得点チャンスしか生まれないでしょう。
戦術的要素で完全に後塵を拝していたので、鳥栖は前からのプレッシングを捨てるという手を打つのも一つの選択として必要だったかもしれません。ノープレッシャーでボールを保持できるようになると、福森や進藤があがってきますので、ボールを奪って電光石火のカウンターを放つためのスペースを作ることができます。ツートップの一角は田川。起点は1人で良いので、トーレスもしくは金崎。パスセンスを考えるとトーレスの方が良いと思います。トーレスから田川へのパスがあっても、田川からトーレスへのリターンがかえってくるかはわかりませんが(笑)
先制点は、これまでの鳥栖の対応の不味さをついにつかれてしまった形でした。前線へのプレスが整理されていないので、プレッシングの相手が固まらないまま小野が中途半端に出てしまい、そしてビルドアップで抜けられても小野が中央に戻らずにスペースを空けてしまいます。ジェイがそのスペースをうまく使い、駒井と三好の効果的な飛び出しでついに失点してしまいました。権田がPKセーブしてくれましたが、フィールドプレイヤーは何度も同じ形で崩されてしまっており、権田の頑張りに報いる事ができませんでした。
勝ち越しのシーンも同様です。リスクを負って前にでていったかもしれませんが攻撃にアイデアがないので、やみくもにボールを蹴ってボールロストしてしまいます。選手たちが戻って来れない中、札幌は鳥栖が与えるスペースを効果的に利用して、体力的に万全の都倉と疲労困憊の祐治の1VS1のシーンを作られてしまいました。選手交替の使い方も、ミシャとマッシモとの格の違いを見せつけられたかのようでした。
札幌の攻撃は、将棋でいう所の数手先までは簡単に読んでいました。人を動かせば鳥栖の守備がこうなるという事を理解したかのようにスペースにダイレクトにボールが入っていきます。鳥栖はまったく相手の動きが読めていませんでした。チーム完成度の差、順位の差、まざまざと見せつけられました。
鳥栖の攻撃には、柏の瀬川、札幌の駒井、三好のように気の利いた、チームの為に「戦術的に」「有効な」プレイをする選手が見当たりません。選手個々は頑張っているのですが、その頑張りがチグハグで報われないのが気の毒でしょうがありません。選手個々の質は高いので、なんとか残り試合で少しでも改善することを願います。残留の為には、下位チーム同士の試合で質の勝負に持ち込むしかないですね。
最後に。この試合は、終始札幌の戦術的戦いに押されっぱなしで、同点になった時点でどういったクロージングをするべきかを考えると、同点での勝ち点1でもOKという考えを持つべきではなかったかと考えます。それは確率の問題であって、試合の展開的に、鳥栖が勝ち越しゴールを奪うよりは、札幌が勝ち越しゴールを奪う確率が高かったからです。そのリスクを冒してでも冒険する価値があったかどうかは単なる結果論と言ってしまえばそれまでなのですが、失った勝ち点1が重くのしかからない事を願うのみです。
<画像引用元:DAZN>
2018 第34節 : 鹿島アントラーズ VS サガン鳥栖
2018 第33節 : サガン鳥栖 VS 横浜F・マリノス
2018 第32節 : ヴィッセル神戸 VS サガン鳥栖
2018 第31節 : サガン鳥栖 VS V・ファーレン長崎
2018 第30節 : ベガルタ仙台 VS サガン鳥栖
2018 第29節 : サガン鳥栖 VS 湘南ベルマーレ
2018 第33節 : サガン鳥栖 VS 横浜F・マリノス
2018 第32節 : ヴィッセル神戸 VS サガン鳥栖
2018 第31節 : サガン鳥栖 VS V・ファーレン長崎
2018 第30節 : ベガルタ仙台 VS サガン鳥栖
2018 第29節 : サガン鳥栖 VS 湘南ベルマーレ
Posted by オオタニ at 18:39
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