サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

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Posted by さがファンブログ事務局 at

2016年09月08日

2016天皇杯 アビスパ福岡 VS レノファ山口

ルヴァンカップの日程の影響により、平日に開催された天皇杯の2回戦のアビスパ福岡対レノファ山口。PK戦にまでもつれる激闘は、レノファ山口の勝利で幕を納め、レノファ山口初の3回戦進出となりました。

アビスパ福岡は、登録は4-5-1でしたが、実際は4-4-2で守備ゾーンを構築しており、前線は、中原と邦本の2名が並び、中盤と最終ラインは4人ずつのラインを組んでいました。

レノファ山口も、アビスパと同様に4-4-2のラインで守備ゾーンを構築しておりましたが、アビスパから押される時間帯になると5-4-1へと変化があり、相手の状態に応じてアンカーを最終ラインまで下げるかどうか決めていた模様です。

試合全体としては、ボールを保持していたレノファがイニシアチブを握っていたように見えますが、実際のところ、福岡は完全に構えて待ち構える状態であり、ミスから先制点を奪われはしましたが、同点、逆転とゴールを決めて、延長後半14分まで勝っていたことを考えると、ある程度アビスパが運びたいような試合の流れになっていたと思います。

レノファがボールを保持しているときは、29番の三幸もしくは、6番の望月が最終ラインのセンターバック間に入ってゲームメイクの役割をしました。(後半途中からは、6番望月から10番庄司に変わり、庄司がその役割を担っていました)
レノファ3人のビルドアップに対して、アビスパが見ているのは前線の2人ということで、ビルドアップ地域での数的有利を保てていましたし、アンカーは比較的ノープレッシャーでボールを保持することができていましたが、なかなか効果的なボールを前線に送ることができず。

アビスパのフォワードがあまり前から来てなかったので、アンカーが最終ラインまで下がらずに、つなぎをセンターバックだけにまかせるという手もあるかなと思っていましたが、延長に入るころには、ゲームメイクに下がるのではなく、通常のボランチの位置でボールを受け、そこから前へとボールを配球していまして、そちらの方が、前線との距離が近くなって裏のスペースへのパスも効果的に出来ていました。

レノファは、ツートップと11番鳥養、19番星がアビスパの最終ラインに張り付いたところからスタートして、サイドバックの裏のスペースを作り出す動きがすごくよかったです。

よく目についたのは、レノファ右サイドにいた11番の鳥養がボールを受けるために下がる動きを見せたところに、アビスパ左サイドバック阿部がくっついていきます。その阿部がくっついていったスペースに4番小池がうまく潜り込んでパスを受けることができた時は良いチャンスとなっていました。

この試合のMVPはゴールキーパーの一森という声が大きいかもしれませんが、私的には11番鳥養に関家具MVPくらいは上げたいと思います(笑)サイドバックの阿部を引き連れていく上下動や、最終ラインから裏のスペースへの飛び出し、32番中山が引いたスペースに入り込むランニングなど、前線の攻撃の活性化は間違いなく鳥養の動きから生み出されたものでした。

福岡の守備は完全に迎撃態勢で、レノファの最終ラインがボールを持っているときも、邦本、中原二人は我関せずという形で、中央に二人がパスコースだけを消すために並んでいました。レノファの6番や29番がちょっかいをかけるように、フォワード2人の間に入ってボールを受けたりもしていましたが、ほとんど食いついてこず。

アビスパは、無理に奪いに行ってスペースを空けたくないという思惑が強かったのか、とにかくスペースを埋めるための動きが優先されているようでした。どの方向に進ませたいのか、どの方向ならばNGなのかという、前線の2人が守備の主導権を握ってボールを奪い取ろうという動きはありませんでしたが、与えるスペースを最小限にして、相手がサイドから作ろうとした時にプレスをかける、それでもゴール前まで進められるとセンターバック個人の力弾き返すという守備の構図は見て取れました。

ただ、この守備の形だと、アビスパの攻撃へのトランジションは、自分たちの深い陣地でボールを奪うか、高い位置で相手にミスが発生するかに限られます。相手のミスは偶発的なものなので、深い位置でボールを奪ってから攻め上がることを考えると、ボールを奪ってから邦本と中原がサイドバックの裏のスペースに向けて動きを見せますが、遠い所からのパスになるのでなかなかつながらず。長いパスがサイドラインを割っていくシーンはアビスパ福岡サポーターの溜息を誘っていました。

その点、レノファの方はボールをサイドに追い込んでから、サイドバックやボランチから縦に入るボールを奪うという方針が見えて、何度もアビスパのパスを中盤でカットするシーンが見えました。ボールを奪う位置が高いので、その後の攻撃もよい形を作り出すことができましたが、残念ながら最後のクロスとシュートの精度に欠け、これがJ1とJ2との違いなのかなという所です。

良い形で前線までボールを運んでチャンスを作る気配を見せるものの決定的なシュートにまでは至らないレノファと、しっかりと守備ブロックを引いて奪ってからカウンターのきっかけをつくるものの、前線のフリーの選手に送るパスの精度に欠けてチャンスがチャンスにならないアビスパという戦いで、延長後半まで戦って互いに2点取ったものの、レノファがシュート10本、アビスパがシュート5本で終わってしまったというのがこの試合を表していると思います。

しかし、レノファの最後の猛攻は見事でした。体力的には厳しい状態だったでしょうが、最後までボールを奪う動きやなんとか前線に運ぼうとする動きなど、11人全員が勝利への執念を見せたことが同点ゴールに繋がりました。この試合で再三再四空けていた阿部の裏のスペースからの得点というのも、私的には乙なゴールだなと思いました。

最後に。レノファは、自陣のゴール前でも繋ごうとしていましたし、レノファサポーターもそれを理解してて 例えミスがあってピンチになろうとしても「クリアしろ!」 なんて無粋なことは言いませんでした。 レノファのサッカーをみんな理解しているんだなと思いました。自分のチームのサッカーのコンセプトを理解するということは、本当に選手の後押しに繋がるのだなと感じました。

  

Posted by オオタニ at 18:25Match Impression (2016)