サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

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Posted by さがファンブログ事務局 at

2016年09月27日

2016 2ND 13節:大宮アルディージャ VS サガン鳥栖

天皇杯から中2日でしかもアウェーの地での対戦となった大宮戦ですが、エース不在というピンチな状況の中、選手全員のハードワークによって最後まで足が止まることなく走り切り、守備に軸を置いた戦いでしっかりと勝ち点1を獲得しました。この結果により、今シーズンの年間総合順位の15位以上が確定し、来シーズンもトップリーグで戦えることとなりました。ファーストステージで思うように勝ち点が稼げなかった状況から考えると、J1残留という最低限の結果を残せたことは、マッシモサガンの1年目としては合格ラインでしょう。

■ 試合の流れ

鳥栖は出場停止であるマッシモ、豊田、ムスに変わって、ブルーノ、富山、早坂がはいります。セットアップとしては4-4-2(&ベンチ穏やか)が基軸ですが、チーム全体が攻撃よりも守備に意識を置いていたこともあり、相手の選手のポジショニングに応じて、4-1-3-2、5-4-1、6-3-1など、流動的に対応していました。

大宮も、前節の川崎戦から河本、横谷が出場停止というのもあり、スタメンを3人入れ替えて鳥栖戦に臨みましたが、セットアップとしては4-4-2でいつもと変わらず。ただし、試合の中で家長が巧みにポジショニングを変更することにより、鳥栖の守備の抜け穴づくりを模索しておりました。

PKで幸先よく得点を取ったサガン鳥栖としては、前半はほぼ完ぺきと言っていいような内容で、崩されるような危険なシーンもほぼありませんでしたし、逆に、相手のミスに乗じて得点できそうなシーンを何度も作ることができました。

しかしながら、大宮が後半に入って攻めの圧力をかけてくると、泉澤をキープレイヤーとして左サイド(鳥栖の右サイド)からの崩しをしかけ、鳥栖は何度かピンチはしのいだもののコーナーキックから同点弾を浴びてしまいました。その後も大宮の攻勢でしたが、前線の選手たちも含めたハードワークでそれ以上の失点を防ぐことに成功し、勝ち点1を得ることができました。

失点を1に抑えることはできたのですが、後半はかなり耐える展開となり、前線も守備に入らざるをえない状況に加えて、豊田、ムス(後半途中から鎌田)がいない時の攻撃の迫力という点では物足りない試合運びでした。

■ キープレイヤー泉澤のポジショニング

大宮は前半、ボール運びに苦労していました。相手の動きに合わせて鳥栖が守備陣形を変えておりまして、コンパクトなポジショニングでしっかりとスペースをつぶしていました。このような守備が出来るのは、富山、早坂の守備の貢献があるからでして、特に早坂のカバーリングは中盤のスペースをうまく埋めることに貢献していました。

前半40分のカウンターのピンチでは、早坂がボランチのスペースを埋めて大宮の攻撃に対応するという、フォワードとしては十分すぎるくらいの守備への貢献を見せていたのですが、その反面、早坂が守勢に回るということは、攻撃へ加担するスピードが遅れるということにも繋がり、そう考えると、PK以外の得点ができずの引き分けは妥当な結果なのかとも言えます。

大宮も手をこまねいてばかりではなく、フォワードとサイドハーフのポジションチェンジをしたり、サイドハーフのポジションを中央に絞らせたり、ボランチが前線に飛び出したりと、鳥栖の守備のギャップを作ろうという動きは見せていました。しかしながら、前半に至っては、ギャップを作ろうとする動きが、鳥栖の守備の範囲内で行われていたので、多少、スペースが空くことはあっても、そこにボールが出されたときの対応が、鳥栖としては「間に合う」範囲でありました。よって、深くえぐられたり、フリーでシュートを放てる状況を迎えたりということはなく、非常に安定した戦いのまま前半を終えることができました。

また、鳥栖の守備が「間に合う」範囲の中で大宮の選手たちが動いているということは、鳥栖がボールを奪いに行く機会もそれなりにありますので、プレスをかけることによって、大宮のミスを誘発しておりました。そのミスに乗じて前半に何回かチャンスがあったのですが、ここがストライカー不在というこの試合の画竜点睛を欠いた部分でありまして、決定力を持った選手がピッチ上にいなかったのが最後まで響きました。





後半に入ってからは大宮の動きが一変します。前半の終了間際から家長と江坂のポジションを入れ替え、起点を浅い位置で作る形を模索し、それに加えて、右サイドでゲームを作るときにボールサイドに寄って中央での引込を狙っていた泉澤のポジションを、後半からは逆サイドのスペースに残したままにします。

これにより、大宮は鳥栖の守備の範囲内で行われていたパス交換を鳥栖の守備の範囲外へ展開する攻撃にシフトし、右サイドで細かくつないで鳥栖の選手を寄せたところに、大きく左サイドの泉澤に展開というひとつの攻撃のパターンが生まれます。家長からの展開が多かったのですが、センターバックから泉澤へのパスが通るようになったのも、大宮として攻撃の構築が非常に楽になりました。

鳥栖の守備のスライドも決して遅かったわけではなく、泉澤へのボールの動きに合わせて全体がしっかりとスライドすることはできていました。ただし、後半の最初の方は、その攻撃への対処方法が選手間で明確に定められておらず、サイドチェンジした際に藤田と泉澤が直接マッチアップで対峙する場面を作られてしまい、迂闊に飛び込むこともできないままずるずると下げられて、深い所からクロスを上げられるシーンが続きました。


その動きから与えてしまったコーナーキックで失点してしまいましたが、鳥栖の方も修正をしてきまして、泉澤がサイドにいる時に、フォワードが中盤に下がり、サイドハーフが最終ラインに下がることにより、泉澤が使えるスペースをつぶす対応を行っていました。大宮の攻撃がサイドチェンジありきとなりつつあったので、藤田のポジションを少しワイドにずらすという選択肢もありましたが、鳥栖はセンターバックとサイドバックのスペースを空けるというリスクを取らず、サイドハーフを下げるという選択を行いました。この対応は、守備を考えると非常に有効でありましたが、攻撃に割く人数を減らすことにも繋がり、前半に比べると、攻撃の迫力は半減してしまいました。



試合終了間際に皮肉なシーンがありまして、藤田がフリーでボールを持っていたのですが、中央にくさびを入れてしまってボールを奪われる結果となり、守備網の中でボールを回そうとして機能しなかった大宮の前半のような攻撃を、今度は逆に鳥栖が実践してしまう形となりました。

ゴール前でくさびを受ける相手が、個人で打開できるムスやゴール前で威力を発揮する豊田ならばこのパスは有効であったかもしれませんが、この試合で起用されている選手やこの試合のトレンドで考えると、大宮の守備網の範囲外(逆サイド)で待っている吉田への展開の方がおもしろかったかなとは思います。おそらく、家長であったならば大きくサイドに展開していたでしょう。



試合終了間際にここのところ好調であるマテウスが出てきまして、鳥栖にとっては彼が一つの脅威でもあったのですが、出場した時間帯が遅かったので、彼も焦りから個人突破を試みるプレイに終始してしまい、懸念していた大宮の選手交代による更なる圧力は、清水がひとつ見せ場を作ったくらいで、失点することなくゲームセットとなりました。

この試合、大宮の攻撃に対する工夫を、鳥栖の選手たちが前線の選手も含めたポジショニングで対処するという、ちょっとした知恵比べの様相をみせたおもしろい戦いでありました。

<画像引用元:スカパーオンデマンド>
  

Posted by オオタニ at 13:42Match Impression (2016)