サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2008年03月24日

サッカーはスポーツであり、戦争ではない

昨日野球を見にYahooBBドームに行ってきた。試合自体も投手戦が続き、8回に一挙4点を取る猛攻でしかも有望新人の完封勝利とあってかなりの盛り上がりを見せた。

野球の応援は実にシンプル。基本は攻撃側の方がラッパや太鼓を使ってバッターボックスに入っている選手の応援を行う。でてくる選手に応じて音楽も大体決まっていて、打順が三回りする頃には大体その選手たちの曲がわかってくる。一方、守備側の応援団もアウトを取ったときにはファンファーレでピッチャーを盛り上げる。

サッカーとの違いを一番感じたのは、レフトスタンドに陣取っている楽天の応援団との仕切りがなかったこと。レフトスタンドにも一般のお客さんがたくさん入ってソフトバンクのメガホンを片手に応援を行っている。ソフトバンクの応援の時には静かに待機している楽天の応援団が気の毒なくらいだ。そういえば、西武戦であればレフトスタンドには多くの西武ファンが陣取っていてソフトバンクファンはバックスクリーンよりに押しやられていた。それでも入り口と出口を封鎖するようなことはなかったし、想像の範疇だが、観客と応援団との間に暗黙の了解による住み分けができているのかもしれない。

しかしながら、肩身の狭かった彼らにも7回のラッキーチャンスだけはビジターのチームにも見せ場ということで、スタジアムには楽天のチーム応援歌が流れ、オーロラビジョンも楽天の応援団の場景を映し出す。ビジターの応援団である彼らが一番盛り上がるシーンでもあった。

野球にはサッカーのサポーターが繰り出す、一種相手のチームを応援している人間を憎しみに感じているかのような面はあまり見えなかった。赤勝て、白勝てではないが、他のチームがどうこうではなく、我がチームをいかに盛り上げて、そして自分達が盛り上がって楽しめるかという応援風景を感じた。

一方、サッカーでこのような事は考えられるだろうか?オーロラビジョンで相手のチームの応援風景などを映すことなどはまずありえない。また、厳戒態勢のスタジアムになると、サポーターの入り口から出口まですべてを分離し、しかも緩衝帯に多数の警備員を配置しているところもある。

鳥栖スタジアムでも、過去に感情に身を任せただけのサポーターが試合後に相手ゴール裏に殴りこみに行くような事件もあった。それ以降、サガン鳥栖も試合後にアウェー側の出口とメインスタンドやバックスタンドを隔離して警備員を配置しており、チームが抱える予算の額も増えてしまった。実に他人の迷惑を考えない行為であり、殴りこみに言った人間の気持ちがすっきりしただけで、サガン鳥栖に関わる人間に関しては誰も何も得していない。

もちろん、野球の応援でこのような事がまったくないとは思えない。野球場でのそのような事件が取り立たされたニュースを見たこともあり、応援団に関しても苦情や不満があったという話も聞く。ただ、サッカーではありえない場景が野球では通常に行われているのには驚いた。

筆者はサッカーの応援スタイルが嫌いなわけではない、むしろ互いに向かい合うゴール裏で選手の背中を後押しし合う形、そしてホームの観客が我がチームを鼓舞する歓声は非常に見ていて興奮するし楽しさも感じる。

ただ、Jリーグ100年構想、スポーツで青少年の育成、このような理想を掲げていく以上、相手チームのサポーターを尊敬しない行為や、感情を抑えるために警備員を配置しなければならないという、人間の理性と照らし合わせると一種異様な風景があることが当たり前になっていけないような気がする。その事がおざなりになっていないか。

サッカーはスポーツであり、戦争ではない。


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Posted by オオタニ at 16:55 │Column