サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2009年02月04日

スタジアム観戦者調査報告書について

スタジアム観戦者調査報告書なるものがあることを、かいぼーさんのBlogを見て初めてこの存在を知りました。

かいぼーさん、掲載してくれてありがとうございました。(最近、砕けすぎたBlogになっているので今も見てくれているかな?(笑))

さて、早速ですが、この手の数字の統計をみると、いつも穿った見方をしたくなるんです(笑)
アンケート結果やグラフというのは数字のマジックがちりばめられていることが往々にして多いので、そのアンケートの背景や環境などを勘案して結果を分析しないと、時として結論を間違った方向に導かれる可能性がありますからね。
今回のアンケートは今後のJリーグの発展に寄与してくれる(利用して生かさなければならない)ものであることは間違いないのでしょうけど、ちょっとだけ気になったことを記載します。

1.サンプリング対象試合について
J2リーグの試合は年間で42試合あります。試合は、土曜日にあれば日曜日にも水曜日にもあり、デーゲームで行われる事もあれば、ナイトゲームで行われる事もあります。季節が寒い時期でも暖かい時期でも試合はあります。当日の天気が晴れか雨かによっても観戦者の行動が変わるし、相手チームによっても観戦者数は変わります。もっと言えばアンケートを配った時間帯によっても結果は大きく異なるものとなるでしょう。

今回は、ホーム1試合、アウェー1試合のサンプリングですが、上記のように対象試合の環境によってかなり観戦者の様相が変わってくるのではないかと思います。また、試合が行われる時間帯ですが、労働時間に近ければ近いほど生産年齢の観戦者は減ってくるとも思います。そのあたりのばらつきも踏まえて、サンプリングする試合を種々の条件下の元、もうちょっと多く設定したらよかったのではないかと思います。そうなるとJリーグ主導ではなく、むしろチームが主導でやらなければいけないものなのかもしれませんね。

…っていうか、鳥栖のホームのアンケートは芝生の養生のための代替開催である佐賀陸で行われたという段階で、いつもとは客層も客の人数も変わってくることは間違いないんですけどね。鳥栖スタでやるのと佐賀陸でやるのとで同様のアンケート結果が得られるかと言われると疑問符が付きます。27Pの居住地なんかはいい例ですね。先着何名にアンケートが配られたかはわかりませんが、佐賀開催だったら佐賀市の割合が多くなるのが自然ではないかなと思います。

2.周辺環境・人口(観戦者)増減が加味されていない
鳥栖の観戦者においては、観戦者の平均年齢が1歳増えているという事で危機感を持ってらっしゃる方もちらほら見受けられました。ただ、平均年齢があがったことが悪いことかと言われるとそれは実際にはわかりません。なぜならば、全体の観戦者増減に対する年齢層の変化や、周辺地域の年齢における人口分布が分からないからです。

「50歳以上が1000人・20~50歳が10000人」の地域と、「50歳以上が5000人・20~50歳が5000人」の地域では、同じパーセンテージの結果がでたとしても、その意味合いは大きく異なります。若い世代がどれくらい見に来ているかという事を主眼に置くならば、その辺りをもう少し掘り下げて分析しないといけないですね。

観客の増減に対する年齢や男女比の増減がわかりませんので、もしかしたら単純に団塊の世代が仕事をやめてサッカーを見に来る事が多くなり、10代~40代の観戦者数が年齢がひとつ増えただけで人数据え置きであったとしたら、全体の観客数が増えると同時に観戦者の平均年齢が増えます。50代以上の観戦者が多くなったという事実であるのに、平均年齢が上がった事を危惧するとなると、ちょっと意味合いが異なる結論であることも考えられます。

年齢層と観客の増減を結び付ける事に関しては、日本全体として、人口分布がピラミッド型ではなくなっている以上、地域(鳥栖近辺)の年齢分布における割合の増減と比較しなければ、正確な結果は導かれないと思います。より正確な結果を導き、適切な情報を得てからこそ、営業活動に生かせるものだと思いますので。マーケティングというのはそんなもんですよね。

3.アンケート回収率の違い
水戸 VS 岐阜は350/2517 で観戦者に対するアンケート回答取得率は13%となっております。
浦和 VS 大分は410/45831 で観戦者に対するアンケート回答取得率はなんと0.8%。

いちおう、母体数がどれだけあるにしろ、アンケート回収数が300~500あれば、サンプリング結果の誤差も少なくなり、一定の成果を得られるということですが、それにしても回答取得率がチーム毎に違うというのはどうなんでしょう。チーム毎に正確な数値を得るためにもアンケートの配布率は合わせた方がいいような気がしますね。ちなみにこれは統計上の問題でもなんでもなく、気分の問題です(笑)

ということで、筆者的にやっぱり気になったのは42ページの観戦歴。集客活動でもx2運動でもそうなんですが、みなさんが増やそうと試みているのは「4.3%」の部分の新規観戦者のところなんですよね。ここについては思う所もあるのですが…いつも書いていることなので、今回はやめておきます(笑)

ということで、何がいいたいかと言いますと、このアンケート結果はあくまでも単発的なものでその時点での状況を把握することはできても、サガン鳥栖として営業戦略(マーケティング)に使おうとするならば、もっと長いスパンを利用して、そしてより深い分析が必要ではないかという所です。この結果で悲観することもなければ楽観することもないのかなとは思います。ただ、毎年おなじ調査をしていると、年が経つにつれてある一定の傾向はでるかと思いますので、それはそれで楽しみですね。



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Posted by オオタニ at 13:54 │Column