サガン鳥栖の観戦記。戦術を分析して分かりやすく説明できるように心がけています。

2008年09月02日

Vol.1 必要なのは人か金

いま、データウェアハウスの設計と構築の仕事に携わっている。データウェアハウスとは、簡単に言うと営業活動や顧客や販売などの様々なデータを時系列に集約し、分析が行いやすい状態のデータベースを作ること…なのかな。

顧客は、ゆくゆくは集約されたデータをグラフ化・レポート化して会議資料として利用し、データマイニング的な使い方をしたいみたいだ。そして、顧客はそれらを開発するパッケージのライセンスは購入してくれたが、その後の運用ができずに右往左往していらっしゃる。筆者はライセンス業者ではなく、導入に携わっただけなのでその後の行方は一歩おいて見守っていたのだが、はたから見ていると右往左往するのも無理はないと思う。

その顧客は金も人も出さないからだ。

日々のデータだけは蓄積されているが、このシステムの肝はグラフ化、レポート化(PG開発)するところだ。もちろん、実際の業務が忙しい時に、専門的に行えるわけではないPG開発行為に対して多忙を理由にPGを作成する人間を顧客側からなかなか出せないのは分かる。それならば、そのPGを専門家に作ってもらうために金で解決すればいいのだろうが、その金もだせないと来ている。そうこうするうちにこちらも何も施さずに1年がたってしまったら使えないシステムということで今後のライセンス拡充に関して難色を示し始めた。

人も金も出さないシステムが運用に乗らないのは自明の理なのに…である。その自明の理に対し、業者がボランティアで対策を施さなければならない状況になっているのが見ていて何とも歯がゆい。しかもボランティアで作っているレポートに対してけちを付けるところを見るとにんともかんとも(苦笑)。

まさに、お客さまにはたてつく事ができないサービス提供側のジレンマの話である。これは人か金かだせよだななんて口が裂けても言えないしがないSEの物語…じゃなかった。話をサッカーに戻そうか。

いきなり結論から言ってしまうが、サッカーチームの運営も結局は人か金が必要なのである。今回は、「サッカーの観客は顧客」という観点で考える。地域密着などという理想的な(甘い)話ではなく、経営、営業、利益という現実的に経営を意識した観点でだ。

サッカーチームがサッカーをするためには、もちろん費用がかかる。おおまかにいえば、環境(クラブハウス、事務所、球技場、練習場など)、人(監督、コーチ、選手、裏方など)は絶対に欠かせない。そしてお金を使い、必要な物を購入して、人を雇いサッカーというサービスを顧客に提供している。サッカーという場所を利用しての広告サービスに対する対価は、スポンサーという一種変わった契約になってしまうので今回はサービスという内容から除外させて頂く。あくまでサッカーそのものを見に来ている観客に限定する。

サッカーというサービスを提供しているチームから見たお客さまとは、当たり前であるがお金を払ってスタジアムにサッカーを見に来ている観客である。サービスというのは対価を支払っているからこそ受け取れるものであり、それは商売でいうと物であろうが、形に見えないものであろうが、なんら変わりはない。お金を払って何らかを享受しているのである。

では、経営から考えてサッカーチームに取っての上お得意さまというのは一体誰なんだろうか。それはやはり、スタジアムで一番高い席を購入して見に来ている人達ではないかと考える。なぜならば、受け取ったチケット代金はサッカーチームがサッカーをするために必要なものを購入するための源泉となるからだ。それならば、割り当てられた席に対してより多くの料金を払ってくれるお客さまはチーム運営上、よりありがたがられるのは必然の流れである。

では、チームにとってはより高いチケット料金を出して、より高いお金さえ出してくれれば一番ありがたい存在なのか…

(Vol.2に続く)

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Posted by オオタニ at 16:19 │Column