2008年09月05日
Vol.2 新規顧客の獲得よりも既存顧客の優良顧客化へ
(前回のつづき)
…と言われると、今度は人、つまりマンパワーによる援助という形がある。本来ならば人件費を払って雇わなければならない人たちをボランティア活動という形でサポートしてくれる人達が一番の代表例であろう。彼らはチームに対してお金を払っているわけではないが、会社にとっては労務という形で十分に貢献してくれている方々である。場合によってはチケット代を出してサッカーを見に来ている人たちの何倍もの利益を会社に対してもたらしているかもしれない。
極端に言うと、技術力の高い選手そのものが、格安で来てくれればサービスの向上という意味では最良の手段ともなりえる。サッカーというサービスにおいて、選手というのは最大の労働力だ。その最大の労働力ももちろん、一般社会と同じようにレベルもランクも質の違いも当然ながらある。いい選手をできる限り安くというのは、フロント、首脳陣の腕の見せ所でもあり、特に、財政状況が厳しい地方都市のチームにとっては大事である。
また、サッカーの世界ではサポーターという言葉があるように、試合中、試合以外で声援を送る事が選手の後押しとなることも往々にして考えられる。しかし、この場合は応援を背に精神的に作用する事はあっても、サッカーの運営そのものに対する源泉として考えるとあくまで補助的なものであり、金銭や労務に直結するものではない。
結論としては、前回のエントリーでも述べたとおり、やっぱり人と金が一番大事であり、その中でもチームにとっての「上お得意様」というのは顧客単価(チケット費用・グッズ購入費用)が一番高い観客であり、本当の意味でのサポーターというのはボランティア活動としてチームに従事してくれている人たちなのではないかと改めて感じる。
このように、言うまでもなくチームの営業は人と金を集めるべく日々努力をしているのだが、サガン鳥栖全体の傾向としては、新規顧客の獲得の方を重視しているように感じる。現に、サポーターは主力グループが中心となり、ひとりひとりが友人・知人を連れてくれば観客が2倍になるという「x2運動」なるものを展開したり、チームは昨年くらいまでは地域に無料招待券を配って新しく興味を持つ人を募っていく形など、新規顧客獲得に対する活動をよく目の当たりにする。
もちろん、筆者はこの運動や活動自体は否定しない。新規顧客を獲得するためには、紹介や実際に体験してもらう事が大事でもあるし、それが売り上げにつながればもちろん言う事はない。しかしながら、実際には思うように成果があがっていないのが現実であり、特にサポーター側が行える事は限度があるので、「x2運動」が今後、期待値通りの結果がでる可能性は低いのではないかと感じる。最近では、サポーターミーティングなどでサポーターのこのような活動費用をチームに要求する場面が見受けられるのも気がかりだ。
さて、みなさんはこういう言葉をご存じだろうか。
「新規顧客を獲得するのに必要なコストは、既存顧客の維持にかかるコストの5倍が必要である」
CRM(Customer Relationship Management)がはやるきっかけとなった言葉(?)らしいが、まさにサガン鳥栖にあてはめても同じ事が言えるのではないかと感じる。
既存顧客について考えてみよう。既存顧客の代表例は、年間パスを買って毎試合見に来ていただいている約3000名のお客さまのことである。(無論、年間パスを買わずに毎試合チケットを買っているお客さまも含める)
さて、彼らを顧客単価という意味合いにおいて優良顧客化するためにはどのようにしたらよいのか。単純に売上げという側面から見ていくと、現在、サガン鳥栖の年間パスは以下のような金額となっている(継続価格)
サポーター席 12000円
レギュラー 24000円
プレミアB 30000円
プレミアA 36000円
サガンシート 55000円
ドリームシート75000円
ここで、x2運動を展開している方たちを引き合いに出すのも気が引けるのだが、あくまでも対比のための代表例ということでご理解していただきたい。x2運動を展開している方たちは、専らサポーター席の方が大部分ではないかと考える。だとすれば、彼らがワンランク上のレギュラーシートの年間パスを購入するだけで顧客単価が2倍になるではないか!しかも、顧客一人当たりの単価が増えるだけでなので、試合時に発生するコストである、ゴミの処理、警備員の配置、建物の老朽化などの試合時にかかる費用は大きくは変わらない。このように顧客単価の増加は目に見える所、目に見えない所の両面でのコスト削減が期待できる。x2運動や地域招待券を展開し、ある一定の新規の顧客が来てくれたとして、いったいどれだけの方がリピーターになってくるのだろうかと考えると、既存顧客の優良顧客化の方が意外と大きな費用対効果があると思うのだがどうだろう。
また、年間パスのワンランクレベル上のものを購入する案については、何もいま応援している場所を捨てて別の席に移れと言っているわけではない。筆者の友人はレギュラー席を購入してゴール裏で見たり、サガンシートを購入してメインスタンドで観戦している方々を知っている。もちろん、現在のサポーター席の方もこのような方は多数いらっしゃるのであろうが、本当にサガン鳥栖の事を考えるのならば、新規顧客の獲得ばかりではなく、既存顧客の優良顧客化という事もテーマとして目を向ける事が重要ではないのかということだ。
そして、そのためにはサポーターばかりに協力を強いるのではなく、チームとしても既存区分けの見直しを考える事も重要ではないかと考える。既存の席割になって何年か経つが、ドリームシート、サガンシートの需要が少ないのは、チームとして最も見直さなければならないところではないだろうか。ドリームシート、サガンシートは高いシートでありながらもシーズン開始前には売り消れになってしまうくらいに席としての価値をあげるくらい席であってほしい。無論、他の席の区分けや料金体系に関しても見直しの必要性は多々感じるところではある。
もちろん、優良顧客というのは顧客単価を上げることばかりではない。顧客離れすることなく、毎年年間パスを買って頂く事も十分優良顧客であり、そのような努力をすることも顧客単価を上げることと同様に重要である。
既存顧客が離れることなく、そして顧客の満足度をあげながら顧客単価を上げることは、ともすればトレードオフの関係でもあるので簡単には実現できないかもしれない。しかしながら、この場合の営業対象はドリームパスポートを買ってくれているお客さまであり、既にサガン鳥栖のサッカーとしての魅力を感じていただいている方々なのである。新規顧客獲得のコストに比べると、コストがすべて無駄になってしまうというリスクは低減されるのではないか。
筆者としては、ここ数年の観客の伸び率を鑑みると、サガン鳥栖としての注力先を新規顧客の獲得よりも既存顧客の優良顧客化へと進めるのは市場の状態から言っても決して間違っていない策だと思う。
ただ、単純に既存顧客への満足度をあげると言っても…
(Vol.3につづく)
…と言われると、今度は人、つまりマンパワーによる援助という形がある。本来ならば人件費を払って雇わなければならない人たちをボランティア活動という形でサポートしてくれる人達が一番の代表例であろう。彼らはチームに対してお金を払っているわけではないが、会社にとっては労務という形で十分に貢献してくれている方々である。場合によってはチケット代を出してサッカーを見に来ている人たちの何倍もの利益を会社に対してもたらしているかもしれない。
極端に言うと、技術力の高い選手そのものが、格安で来てくれればサービスの向上という意味では最良の手段ともなりえる。サッカーというサービスにおいて、選手というのは最大の労働力だ。その最大の労働力ももちろん、一般社会と同じようにレベルもランクも質の違いも当然ながらある。いい選手をできる限り安くというのは、フロント、首脳陣の腕の見せ所でもあり、特に、財政状況が厳しい地方都市のチームにとっては大事である。
また、サッカーの世界ではサポーターという言葉があるように、試合中、試合以外で声援を送る事が選手の後押しとなることも往々にして考えられる。しかし、この場合は応援を背に精神的に作用する事はあっても、サッカーの運営そのものに対する源泉として考えるとあくまで補助的なものであり、金銭や労務に直結するものではない。
結論としては、前回のエントリーでも述べたとおり、やっぱり人と金が一番大事であり、その中でもチームにとっての「上お得意様」というのは顧客単価(チケット費用・グッズ購入費用)が一番高い観客であり、本当の意味でのサポーターというのはボランティア活動としてチームに従事してくれている人たちなのではないかと改めて感じる。
このように、言うまでもなくチームの営業は人と金を集めるべく日々努力をしているのだが、サガン鳥栖全体の傾向としては、新規顧客の獲得の方を重視しているように感じる。現に、サポーターは主力グループが中心となり、ひとりひとりが友人・知人を連れてくれば観客が2倍になるという「x2運動」なるものを展開したり、チームは昨年くらいまでは地域に無料招待券を配って新しく興味を持つ人を募っていく形など、新規顧客獲得に対する活動をよく目の当たりにする。
もちろん、筆者はこの運動や活動自体は否定しない。新規顧客を獲得するためには、紹介や実際に体験してもらう事が大事でもあるし、それが売り上げにつながればもちろん言う事はない。しかしながら、実際には思うように成果があがっていないのが現実であり、特にサポーター側が行える事は限度があるので、「x2運動」が今後、期待値通りの結果がでる可能性は低いのではないかと感じる。最近では、サポーターミーティングなどでサポーターのこのような活動費用をチームに要求する場面が見受けられるのも気がかりだ。
さて、みなさんはこういう言葉をご存じだろうか。
「新規顧客を獲得するのに必要なコストは、既存顧客の維持にかかるコストの5倍が必要である」
CRM(Customer Relationship Management)がはやるきっかけとなった言葉(?)らしいが、まさにサガン鳥栖にあてはめても同じ事が言えるのではないかと感じる。
既存顧客について考えてみよう。既存顧客の代表例は、年間パスを買って毎試合見に来ていただいている約3000名のお客さまのことである。(無論、年間パスを買わずに毎試合チケットを買っているお客さまも含める)
さて、彼らを顧客単価という意味合いにおいて優良顧客化するためにはどのようにしたらよいのか。単純に売上げという側面から見ていくと、現在、サガン鳥栖の年間パスは以下のような金額となっている(継続価格)
サポーター席 12000円
レギュラー 24000円
プレミアB 30000円
プレミアA 36000円
サガンシート 55000円
ドリームシート75000円
ここで、x2運動を展開している方たちを引き合いに出すのも気が引けるのだが、あくまでも対比のための代表例ということでご理解していただきたい。x2運動を展開している方たちは、専らサポーター席の方が大部分ではないかと考える。だとすれば、彼らがワンランク上のレギュラーシートの年間パスを購入するだけで顧客単価が2倍になるではないか!しかも、顧客一人当たりの単価が増えるだけでなので、試合時に発生するコストである、ゴミの処理、警備員の配置、建物の老朽化などの試合時にかかる費用は大きくは変わらない。このように顧客単価の増加は目に見える所、目に見えない所の両面でのコスト削減が期待できる。x2運動や地域招待券を展開し、ある一定の新規の顧客が来てくれたとして、いったいどれだけの方がリピーターになってくるのだろうかと考えると、既存顧客の優良顧客化の方が意外と大きな費用対効果があると思うのだがどうだろう。
また、年間パスのワンランクレベル上のものを購入する案については、何もいま応援している場所を捨てて別の席に移れと言っているわけではない。筆者の友人はレギュラー席を購入してゴール裏で見たり、サガンシートを購入してメインスタンドで観戦している方々を知っている。もちろん、現在のサポーター席の方もこのような方は多数いらっしゃるのであろうが、本当にサガン鳥栖の事を考えるのならば、新規顧客の獲得ばかりではなく、既存顧客の優良顧客化という事もテーマとして目を向ける事が重要ではないのかということだ。
そして、そのためにはサポーターばかりに協力を強いるのではなく、チームとしても既存区分けの見直しを考える事も重要ではないかと考える。既存の席割になって何年か経つが、ドリームシート、サガンシートの需要が少ないのは、チームとして最も見直さなければならないところではないだろうか。ドリームシート、サガンシートは高いシートでありながらもシーズン開始前には売り消れになってしまうくらいに席としての価値をあげるくらい席であってほしい。無論、他の席の区分けや料金体系に関しても見直しの必要性は多々感じるところではある。
もちろん、優良顧客というのは顧客単価を上げることばかりではない。顧客離れすることなく、毎年年間パスを買って頂く事も十分優良顧客であり、そのような努力をすることも顧客単価を上げることと同様に重要である。
既存顧客が離れることなく、そして顧客の満足度をあげながら顧客単価を上げることは、ともすればトレードオフの関係でもあるので簡単には実現できないかもしれない。しかしながら、この場合の営業対象はドリームパスポートを買ってくれているお客さまであり、既にサガン鳥栖のサッカーとしての魅力を感じていただいている方々なのである。新規顧客獲得のコストに比べると、コストがすべて無駄になってしまうというリスクは低減されるのではないか。
筆者としては、ここ数年の観客の伸び率を鑑みると、サガン鳥栖としての注力先を新規顧客の獲得よりも既存顧客の優良顧客化へと進めるのは市場の状態から言っても決して間違っていない策だと思う。
ただ、単純に既存顧客への満足度をあげると言っても…
(Vol.3につづく)